第151話餘思未盡 加爲六韻 重寄微之(2)

製從長慶辭高古こうこ

(微之長慶初知製誥 文格高古 始變俗體 繼者效之也)

詩到元和體變新

しゅうしょう元白げんぱく為千字律詩 或號元和格げんわかく

各有文姬ぶんき稚齒ちし

蔡邑さいよう無兒 有女えん 字文姬)

俱無通子けい餘塵よじん

(陶潛小兒名通子)

琴書何必求王粲おうさん 與女猶勝與外人


辞令の言葉は、長慶の時代から、高雅なものへと変化した。

(微之は、長慶の初めに、知製誥を任じられた。そして、其の文体は高雅なものであった。かつての通俗な文体を改め、その後に続くものの手本となった)

詩の句は、元和の時代に構成が変化した。

(世間では元白を千字律詩と称した。あるいは元和格とも呼んだ)

お互いに、まだ幼い文姫のような娘がいる。

蔡邑さいようには男の子が無く、えんと文姬という名の娘がいた)

どちらにも通子つうしのような跡取りはいない。

(陶淵明の男の子は通子という名前である)

琴や書物を残すのに、特に王粲おうさんを探す必要はない。

娘に与えるほうが、他人に渡すよりは良いと思っている。


※千字律詩:元稹と白楽天が応酬した長編の近体詩。

※文姫:後漢の学者蔡邑さいようの娘、えんのあざな。才女として名高い。元稹と白楽天の二人の娘をえんになぞらえたもの。

稚齒ちし:おさないこと。

※通子:陶淵明(陶潜)の詩「子を責む」に「通子は九歳にもなるのに、まだ梨と栗を欲しがる)」からの引用。

※琴書~:後漢の学者蔡邑さいようが若い王粲おうさんの才能に惚れ込み、所蔵する数万巻の書物を与えた故事を引用している。


○長慶三年(823),杭州の作。

○元稹と白楽天の文学交流や歴史を自ら述べている。

○元稹による詔勅文体の変更、二人の詩の応酬が「元和格」として、世間の評判を集めたことを、語っている。





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