第147話酔歌

酔歌

示妓人商玲瓏れいろう


罷胡琴 掩秦瑟しんしつ


玲瓏再拝歌初畢 誰道使君不解歌 聴唱黄鶏與白日 黄鶏催暁丑時鳴

白日催年酉前没 腰間紅綬繁未隠 鏡裏朱顔看已失 玲瓏玲瓏奈老何

使君歌了汝更歌  


酔っぱらいの歌

妓女の商玲瓏れいろうに見せる。


胡の琴の演奏を終わり、秦の瑟をしまい込む。

歌が終わったので、玲瓏は再拝の礼をする。

使君が歌が歌えないなど、誰が言ったのか。

とにかく聴きなさい、「黄鶏」と「白日」を歌うのだから。

「黄色い鶏は、夜明けを急き立て、丑の時(午前二時)から鳴き始める」

「白日は、時を急き立て酉の時(午後六時)の前に沈んでしまう」

「腰から下げた赤い印綬が似合うようになる前に、鏡の中の顔は、もはや若さを感じない」

玲瓏、玲瓏、この老化をどうしたらいい?

使君が歌い終わったら、あなたがもう一度歌っておくれ。


※商玲瓏れいろう:杭州の妓女の名前。

※胡琴:琵琶。

秦瑟しんしつ:琵琶よりは弦の数が多い弦楽器。

※使君:州刺史の敬称。つまり白楽天自身。


○長慶三年(823)、杭州の作。

○酒席の中で、妓女と歌をやりとりした詩。

○よくある酒席の会話だけれど、白楽天の人柄が見えてくる。

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