第136話卜居

卜居ぼっきょ


遊宦ゆうがん京都二十春 貧中無處可安貧 長羨蝸牛猶有舍 不如硕鼠せきそ解藏身

却求容立錐頭すいとう地 免似漂流木偶人 但道吾廬心便足,敢辞湫隘しゅうあい嚣塵ごうじん


都に出て官職に就いて二十年の間は、暮らしは貧乏な状態が続いたし、その貧乏に安んずる場所もなかった。

いつも不満に思っていたのは、家はカタツムリでさえ、持っていること。

大鼠が潜む場所すら持てなかった。

せめて錐が立つ程度の土地を求めて、水の上を流れている木偶人形のような暮らしからは、抜け出すことにする。

条件としては、自分自身が満足できること。

低湿な狭い土地でも、喧しい巷でも問題はない。


卜居ぼっきょ:居宅を構えること。(古くは占いで決めたようだ)

遊宦ゆうがん:故郷を離れ都にて官位につくこと。

湫隘しゅうあい:低湿地。

嚣塵ごうじん:喧しいところ。


○長慶元年(821)、長安の作。

○白楽天は、長安の官吏に復帰し、二月に新昌里に居宅を求めた。

○さすがに大都会、住宅事情は厳しかったようだ。

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