第132話委順

委順


山城雖荒蕪 竹樹有嘉色 郡俸誠不多 亦足充衣食

外累由心起 心寧累自息 尚欲忘家卿 誰能算宮職

宜懐齊遠近 委順随南北 歸去誠可憐 天涯住亦得


自然に委ねて生きる。


山間の街は、荒れてさびれているけれど、竹や木々の姿は美しい。

役所から受け取る俸給は本当に少ないけれど、食べていくのには問題がない。

世間の苦しみも結局は、自分の心から生じている。

心安らかにしていれば、そんな心の苦しみも浮かぶこともない。

そのうえ、故郷など忘れてきているのだから、官位がどうのこうのは関係がない。

自らの心が満足していれば、遠い近いは同じこと。

自然に委ねれば南でも北でもいい。

帰郷に心が動くこともあるけれど、天の果てだろうと、住むことはできる。


※山城:山の中の街(街)、忠州のこと。


○元和十五年(820)、忠州の作。

○苦しみの原因を自分の心に求めるということは、般若心経を思って書いたのだろうか。

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