第120話白楽天の四十八歳から四十九歳までの時期

元和十三年(818)の歳末。

左遷され、江州にて落胆の日々を送っていた白楽天に、辞令が届いた。

その内容は、罪の軽減。

新たな職場は、忠州刺史(四川省忠県の長官)。

翌年の元和十四年の春、白楽天は弟の白行簡とともに、江州から離れた。

行程としては、長江をさかのぼる。

岳州(湖南省岳陽市)、江陵(湖北省荊州市)を過ぎ、夷陵(湖北省宣昌市)に至った時、同じように罪を軽減され、長江をくだっていた旧友の元稹と偶然に再会を果たす。

何度も夢にまで出てきた元稹との偶然にして天啓ともいえる出会いは、二人にとってどれほどの幸福な時間だったのであろうか。

二人は三日間だけ、ともに過ごしたのち、別れた。

白楽天は、さらに長江をのぼり、三峡を経て、三月二十八日に忠州に到着。

その忠州は、長江の左岸にあたる田舎町。

江州とは異なり、歴史的なものも文化もない。

白楽天は、結局この地にはなじめなかった。

翌年、元和十五年の秋、白楽天にまた辞令が届いた。

その内容は、都への召喚辞令である。


明日から、この時期の十二首を訳します。

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