第119話尋郭道士不遇

尋郭道士不遇


郡中乞假來相訪 洞裏朝元去不逢 看院只留雙白鶴 入門惟見一青松

藥爐有火丹應伏 雲碓無人水自舂

(廬山中雲母多 故以水碓擣錬 俗呼爲雲碓)

欲問參同契中事 更期何日得從容


郭道士を尋ねて逢うことができなかった。


郡の役所より休暇を得て、訪ねて来たけれど

折から洞の中に老子参拝にお出かけをされていたので、お逢いできなかった。

庭の様子を見ると、つがいの白鶴が見えるだけ。

門の中に入ると、青い松が一本、目に入るのみ。

薬を作る炉には火がついていて、仙丹は焼かれるのを待っている。

雲母を練る𦥑には、人がいない。

水車だけが勝手についている。

(廬山には雲母が多いので、水車の𦥑でつく。それを俗に「雲碓」という)

「参同契」のお話をお聞きしようと思ったけれど、またいつか、ゆっくりとできる日を期すことにする。


※郭道士:郭虚舟という名の道士。

※洞:道教の神を祀る祠、「朝元」は老子に参拝すること。

※擣錬:叩いて練り上げる。

※参同契:道教の教義書。

※從容:ゆっくりと。


○元和十三年(818)、江州の作。

○白楽天は仏教だけでなく、中国古来の道教にも関心を持っていた。

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