第98話東南行(7)

別選閑遊伴 潛招劇飲げきいん徒 一杯愁已破 三盞さんせん彌麤いよいよあらし

軟美仇家きゅうか酒 幽閑葛氏姝 十千方得斗 二八正當


論笑杓胡律

李十一杓直性多可 不持確論 故衆號胡律王


談憐鞏囁嚅きょうせつじゅ 

竇七鞏善談謔而微吃 衆或呼為吃鞏きっきょう


李酣猶短竇たんとう 醉更蔫迂えんう

李酣尤軀短小 庾州三神貌迂徐 毎因酔中 各滋本態

當時亦因為短李蔫庾


とにかく暇で仕方がない連中を選んで、そっと大酒飲みの輩を呼び集めた。

一杯も飲めば、早くも悩みが消え去り、三杯となると、もう元気すぎるほどになる。

仇家の酒は口当たりもいいし、葛氏のおしとやかな美女たちがおもてなしだ。

美酒を一万銭をはたいて買い求め、二八(十六歳)の娘がお酒の燗をつけてくれる。


議論が盛り上がれば、杓直(李健)の口からごまかしを笑う。

(李十一杓直は八方美人で、自分なりの意見がなかった。それを追求すると口からごまかしをするので、「うやむや王」と呼んだ)


談論になると竇鞏は口が回らなくなって可哀想に思った。

(竇七鞏は談論は面白かったけれど、少し口が回らなかった。そのため皆から「モゴモゴの輩」と言われたりもした)


宴がたけなわになれば、李紳はますます背が低くなり、酒を飲みすぎて庾敬久は動きが遅くなる。

(李二十は背が低く、庾三十三はノロマだった。酔いが回ると、それぞれの本性が出た。当時はそれで「ちびの李」、「ノロマの庾」と呼ばれた)



○若かりし頃の官僚仲間との酒席での話を思い出している。

三盞さんせん;「盞」は盃。

:豪放で元気がよくなること。

※仇家:長安の飲み屋と言われている。

※葛氏姝:長安の飲み屋専属か、あるいは白楽天と悪友仲間が呼んだ馴染みのコンパニオン。

※杓胡律:「杓」は李十一杓直(友人)、「胡律」はあやふやな様子。

※多可:自分の確たる意見がない、つまり八方美人。

鞏囁嚅きょうせつじゅ:「鞏」は竇七鞏(友人)。囁嚅は口ごもること。


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