第70話編集拙詩

編集拙詩、成一十五巻、因題巻末 戯贈元九李二十


一篇長恨有風情  十首秦吟近正聲  毎被老元偸格律

(元九向江陵日、嘗以拙詩一軸贈行、自後格変)


苦教短李伏歌行 

(李二十常自負歌行、近見予楽府五十首、默然心伏)


世間富貴応無分 身後文章合有名 莫怪気轟きそ言語大 新排十五巻詩成



自作の詩を編集をして十五巻にまとめた。

巻末に詩を題して元九(元稹)と李二十(李紳)に、戯れに贈る。


一篇の「長恨歌」は味わいを重視し、十首の「秦中吟」は詩としてのあるべき姿を求めた。

ところが元のおっさんには、せっかく詠んだ私の詩の風格を、いつも、するりと持って行かれてしまう。

(元のおっさんが江陵に旅立つ日に、私は自作の詩一軸を送別として贈った。それ以降、元のおっさんの詩の風格が増すことになった)


ちんちくりんの李さんには、私の歌行については、一言も言わせずに屈服させた。

(李二十は自分の歌行体について鼻高々であったけれど、最近私の新楽府五十首を読んだ後は、何も言わずに心伏している)


世間の富貴には無関係であるけれど、私の名前は残した文により、死後にも残る。

意気も壮大で大言だと首をかしげて欲しくない。

ここに、十五の巻が出来上がったのである。


気轟きそ:粗雑


○元和十年(815)、江州の作

○元九(元稹)、李二十(李紳)は、それぞれ白楽天の友人。

 おっさんとか、ちんちくりんとして、からかっているところが面白い。

○白氏文集の最初をまとめあげた自己満足を記している。

○白氏文集は、我が日本でも貴族社会の愛読書であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る