第29話新楽府ならびに序
序曰、凡九千二百五十二言,斷為五十篇。
篇無定句, 句無定字,系于意,不系于文。
首句標其目,卒章顯其志,詩三百之義也。
其辭質而徑,欲見之者易諭也。其言直而切,欲聞之者深誡也。
其事核而實,使采之者傳信也。其体順而肆,可以播于樂章歌曲也。
總而言之,為君、為臣、為民、為物、為事而作,不為文而作也
序として述べておく。
文字数としては九千二百五十二字、それを五十の扁に分けた。
一扁ごとに決まった句の数はなく、一行ごとに決まった字数もない。
その内容に重きを置き、文飾などは考えていない。
冒頭の句により、そのテーマを示し、最後の章に意図を明らかにしたのは、詩経のスタイルを踏襲したためである。
言葉の使い方が直接的で装飾が無いのは、これを読む人に強く戒めてほしいから。
内容が事実に基づくもので虚偽などが無いというのは、この詩を読む人に真実のことを伝え広めて欲しいからである。
スタイルをなめらかに自在にしたのは、これを音楽の演奏や歌により広められてほしいからである。
全体としての方針は、これは君主のため、臣下のため、人民のため、物のため、事のために作ったものであること、決して文辞のために作ることはしていない。
※楽府:中国,韻文のジャンルの一つ。
前漢の武帝時に設置された各地の民謡を集めて記録する役所名から、その後に記録された楽曲や歌謡を楽府の名で呼ぶようになった。
やがてその旋律に合せた歌詞を替え歌として創作するようになり,さらにその旋律がわからなくなって歌詞だけがつくられたが,それらもすべてもとの旋律の題名で呼ばれた。その題名を楽府題という。
したがって同じ楽府題で多くの作品がある。
唐代に入ると新しい題で楽府風の歌謡をつくることが盛んに行われ,それを六朝以前からある楽府に対して「新楽府」と呼ぶ。(ブリタニカ国際大百科辞典から)
※詩三百:最古の詩集「詩経」のこと。約三百扁の詩からなる。
○新楽府五十首は、元和四年(809)ころ、長安の作。「諷喩詩」
●その五十首から十三首を選び次回から訳を行います。
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