第13話長恨歌(4)
驪宮高処入青雲 仙楽風飄処処聞
緩歌慢舞凝糸竹 尽日君王看不足
漁陽鞞鼓動地来 驚破霓裳羽衣曲
九重城闕煙塵生 千乗万騎西南行
仙界と思われるほどの妙なる楽の音は 薫風に舞いあちらこちらに届きます。
ゆるやかな歌 のびやかな舞 情をたたえた糸竹の音
飽きることなど何もなく 天子は日々 楊貴妃を侍らせ この上ない悦楽にひたるのです。
そこに突然 漁陽の進軍の楽が大音声で轟き 甘美な天子の楽を打ち消しました。
そして九重の宮殿の門は 業火に襲われ 黒煙を巻き上げています。
天子とその一行は これにはもはや 何も抗すことが出来ません。
千の馬車と万の騎兵に守られ 西南の蜀をめざし、帝都を後に落ちのびることになりました。
※
※漁陽の軍楽:漁陽(天津)の地の軍楽。
安禄山の軍が帝都に攻め入った状況を、勇ましく剛健な音楽が、天子の優美な音楽を駆逐するとして表現する。
尚、安禄山の本拠地は范陽(北京付近)であるけれど、近隣の漁陽としたのは、後漢の鼓の名手が曹操の前で奏した漁陽にちなんだ曲に掛けたもの。
○歓楽を尽くした華清宮での日々は、人民の不満を集めた安禄山の乱により一転、天子一行は、帝都から都落ちすることになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます