第11話長恨歌(2)
春寒賜浴華清池 温泉水滑洗凝脂
侍児扶起嬌無力 始是新承恩沢時
雲鬢花顔金歩揺 芙蓉帳暖度春宵
春宵苦短日高起 従此君王不早朝
春がまだ浅く寒さを感じる日でありましたが、彼女は天子より、華清池での湯浴みを賜りました。
その温泉の水はなめらかで、彼女の艶やかな白い玉の肌をゆるやかにひたします。
お側にお仕えの侍女が彼女を支え起こそうとするのですが、彼女の美しい身体は、たおやかでふわふわ、そのまま力無くしなだれてしまいます。
そして、これがはじめて天子のご寵愛を受けられた時でありました。
雲のごとく結い上げた髪 花のようなお顔 一足ごとに揺れる金のかんざし
芙蓉の花柄の帳は暖かく その中で天子と春の夜を過ごすのです。
しかし、その春の夜は本当に短く
二人が起きるころには、すでに日は高くのぼっています。
これより後、天子は早朝の政務にお顔を見せなくなりました。
※華清池:長安北東30キロ。
北朝時期から温泉宮と言われた離宮があった。
玄宗皇帝により、名を華清宮と改名、避寒の地とした。
※楊貴妃が殺されたのは秋。天子の御寵愛を受けた時期を早春に設定、対比を行っている。
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