第10話長恨歌(1)

漢皇重色思傾国  御宇多年求不得


楊家有女初長成 養在深閨人未識


天生麗質難自棄 朝選在君王側


迴眸一笑百媚生 六宮粉黛無顔色




漢の元帝は、美女を強く求めるお方でした。


そして、国を傾けるほどの美女を、求めていたのです。


しかし、今までの長年のご統治においても、満足ができるほどの美女は、誰ひとりとして得ることは出来ませんでした。


さて、そのような折り、楊氏の邸には、大人になったばかりの娘、それも深窓にて育てられ、他人には誰ひとりとして見せたことのない娘がおりました。


しかし、生まれ持っての無上の美しさは、そのまま埋もれるはずもなく、いつの間にか天帝にでも知られたのでしょうか、ある日突然お声がかかり、天子のお側に仕える身分となったのです。


さて、その美しさと言えば、くるりと振り向き、にっこりと笑えば匂い立つような麗しさ、見ているもの全員が魅了されるほどなのでございます。


そして、この光輝く麗しさには、華やかに装う後宮の美女たちの妙なる美しさでさえ、まるで色あせてしまうのです。



※漢の帝は実際は唐の玄宗皇帝を指す。

 漢の武帝に託して、玄宗と楊貴妃の物語を読み上げる形を採っている。

※国を傾けるほどの美女

 国中の人を夢中にさせるほどの美女。

 彼女を見ようとして人が一箇所に集中してしまい、そのために町や国が傾いてしまう、それほどの美女。

 


○以下、十四回にわけて舞夢なりの「物語風」に訳します。

 長恨歌については、原文を冒頭に載せます。

 尚、今後も折に触れて(PCに反映できる状態であれば)原文をのせます。

※日本語で訳をすると、「詩」よりは「物語風」のほうが読みやすく感じます。

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