第8話元宋簡と曲江と遊んだ後、翌日の彼からの手紙に答える。
答元八宗簡同遊曲江後、明日見贈
長安千萬人 出門各有営 唯我與夫子 信馬悠悠行
行到曲江頭 反照草樹明 南山好顔色 病客有心情
水禽翻白羽 風荷嫋翠茎 何必滄浪去 即此可濯纓
時景不重来 賞心難再幷 坐愁紅塵裏 夕鼓鼕鼕聲
帰来経一宿 世處稍復生 頼聞揺華唱 再得塵襟清
長安の都は、何千何万の人が全て一歩その家を出れば、皆仕事に勤しんでいる。
そのなかで、私とあなただけは暇だ、馬の歩みに身をまかせ、のん気に道を進んだ。
そのまま曲江あたりにつくと、夕映えに輝く草木のなんと美しいことか。
そのうえ、南山の美しい姿が目の前だ。
この風情には、悩みを抱える旅人とて、その心を癒やすだろう。
水鳥は、その白く美しい翼を振り、飛び立っていく。
風を受ける蓮は、その緑の茎がゆるやかに揺れる。
これなら、わざわざ滄浪にまで行くこともないではないか。
ここで冠のひもを洗えば十分だ。
しかし あの景色はその時限り 味わった心も繰り返すことはできない。
今、また こうして一人世間の塵に心が沈んでしまった。
聞こえてくるのは日没の太鼓を叩く音。
やはり家に戻り一晩を過ごせば、世俗の面倒臭さが飛び込んでくる。
それが 君の華やかな詩を読み 今一度 心も澄んできた。
○貞元十九年(803)、長安での作。
元宋簡は友人。
友人元宋簡と曲江の行楽地に一日遊び、翌日贈られた詩への返詩。
遊びから現実生活に戻った白居易は、友人が送ってくれた詩に元気づけられた。
風景も遊びの楽しみは、その時限りであるけれど、詩にして残すことで、また新たな感慨が発生し、元気も蘇る。
現代人では写真とか動画があるけれど、楽しい思い出は残しておきたいものだ。
※曲江:長安東南の行楽地
※南山:長安の南に連なる終南山
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