第37話 メトロノーム

 10月の生徒のコンクールがすべて終りました。


 9月にBコンクールの予選を通過した二人の生徒は10月の本選を通過しました。


 この二人は次は12月に最後の地区大会です。

 


 Cコンクール予選に出た生徒は残念ながら審査員の評価が割れ、90点 86点 80点で予選落ちでした。


 90点の審査員は素晴らしい演奏でしたとお褒めの言葉が並んでおり、80点の審査員は和音(二つ以上の音を同時に鳴らすこと)のバランスに気をつけるようにと書かれていました。


 私的には、86点の審査員が順当だと思いましたが、平均点で賞が決まるので80点は痛かったです。


 コンクールでは審査員の好みで評価が割れることはよくありますが、なかなか納得するのは難しいものです。


 しかし、コンクールとは、そんなものだと納得するしかありません。

 


 私は11月の本選で再びモーツァルトを弾くことにしました。

 残念ながらブラームスは間に合いませんでした。


 何故、間に合わなかったか、と言いますとカクヨムで

『私の人生でへえーと思った話』を書くのに夢中になり練習が適当になったのです。(反省)


 テンポ感の悪い私は、メトロノーム(一定の速さでカチカチと音を鳴らし続ける機械)を使って練習せねばきちんと演奏できないのですが、ちょっとカクヨムに気を取られ忘れていました。


 そして、拍子感が崩れた呆れた演奏を先生の前でしてしまいました。


 自分では崩れているのがわからないのは困ったところです。それで、ブラームスは別の機会に弾く事にしてコンクール本選は、再びモーツァルトを弾くことにしました。


 自分の演奏では、崩れているのがわからないのに、生徒の演奏ではわかります。


 難易度が下がるのもありますが、他人の演奏は冷静に聴けるのでしょう。


 コンクールに出る中学生が、コンクール前日に崩れた演奏を聴かせてくれました。


 さぁ、メトロノームの出番です。


 この中学生が、メトロノームが大嫌いで…。


 反抗期真っ盛りの中学生にドキドキしながら提案しましたよ。

 「メトロノームを使わなかったから私は自分の先生の前でひどい演奏をしてね。恥ずかしかったよ。」


 「だから何…?」



                   続く

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