第36話 爪かピアノか選んでください
週に何回か、よそのお宅のお子さんの爪を切り続け30年以上経ちます。(レッスンの前に)
ご存知の方も多いと思いますが、ピアノは爪が長いと手の形を作れません。
初歩では指先を立てて指先で打鍵するのが基本です。
ジャンケンのグーを作って手をテーブルに置いてそっと開きます。
指先がテーブルの上に立つように開いていくとピアノを弾く手の形です。
あっ親指は斜めで大丈夫です。
ね!爪が長いと難しいでしょう?
一昔前は、単に親がどのくらい子どもを気にかけているのかがわかるな~とか思っていました。(自分は小さい頃から自分で切っていたのにそう思うのも不思議ですが)
爪の伸び具合で練習してないのもわかります。
ただ、爪の小さい子とかは爪が伸びてても気にせず弾きますけどね。
女の子は中学生~高校生くらいから爪を伸ばして休日にマニキュアを塗ろうと切らずにレッスンに来たりします。
そして、私と揉めるのです。
「何?その爪!
爪かピアノか、選んでちょうだい!
爪を取るなら今日でレッスンは終わり、ピアノを取るな ら今すぐ爪を切って!」
日頃、友達同士みたいな私が厳しく言うと、大抵おとなしく爪を切る方を選んでくれますが、言い返す子も中にはいます。
「どっちも嫌!
日曜に友達と遊ぶ時に爪が短いとマニキュアが塗れないから恥ずかしいもん。
来週、切って来ればいいのになんでピアノ終わりになる 訳? 意味わかんない!
ピアノのやめさせられたらお母さんに怒られるし!」
そりゃあ、そうだね。
ピアノ命じゃないんだから、たまにはいいかなって思うけれども、そこで折れたら「たまに」じゃあなくなるんですよ。
「爪が鍵盤に引っ掛かって剥がれたら危ないから駄目です。うちでケガされたら困るので、取り合えず今日はレッスン出来ません。」
そう言えば、諦めて
「もう~・・・切ればいいんでしょ・・・。」
と切り始めます。
そうそう、切ればいいんです。
今の時代、母親が爪を綺麗に伸ばしてマニキュアどころかネイルアートする時代です。
少学校で子どもだけに爪を切れ切れ言っても、お母さんは爪を伸ばしていい訳で子どもにしてみればピアノでもないかぎり切る理由がわかんないんじゃないのかな~。
子どもの爪の中は、メッチャ汚いですけどね。
でも、お母さんの爪の中もバイ菌だらけじゃ・・・。
続く
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