第21話 黄金の蛙

 あれは、私がピアノの先生を始めて8年くらい経った実家での出来事。(結婚する前年でした)

 春だったと思います。

 雨上がりに友人とドライブして、とある河の上流の河川敷に行きました。

 そこに出来た水溜まりの中にポツン、ポツン、と何かの卵がありました。

 

 直径2ミリくらいの卵から何が生まれるのか気になり、生態系が壊れるなんてことも考えずに、そこいらへんに落ちていた瓶に10個くらい入れて持ち帰りました。


 プラスチックの小さな虫かご(蓋だけが網になっている)に水と一緒に入れてピアノの上に置いて、生徒たちと何が生まれるのか楽しみにしていました。


 一週間もしないうちにその卵から、それはそれは小さい体長2ミリくらいのおたまじゃくしが10匹生まれました。

 

 おたまじゃくしなんて飼ったこともなく、何となく餌にと思いついたのが、お味噌汁に入れる、おふ(私の安いタブレットには、ふ の変換がありませんでした)。


 ためしに、おふの粉をやってみると、まあ、小さいおたまじゃくしが、小さなお口で食べる食べる。

 その可愛らしいこと。

 あっという間に、ピアノ教室の人気者です。


 日に日に大きくなり、おふは卒業して、食パンを小さくちぎってやりました。これも良く食べました。

 ある日、普通の食パンがなくて、ぶどうパンをぶどうをよけてやりました。

 次の日、おたまじゃくしの虫かごの水が真っ白に濁り、ヨーグルト臭を放って、おたまじゃくし達は腹を上にして、息も絶え絶えに浮かんでいました。

 すぐに水の入れ替えをして全員復活しました。


 水性生物にぶどうパンをやるのはやめましょう。


 パンで育ったおたまじゃくしたちは、体長2~3㌢程度になると脚が生え手が生え小さな蛙になっていきました。

 虫かごの中に上陸用の石を入れてやりました。


 餌をどうするか悩みましたが、実家の車庫の中に蚊が沢山とまっているコンクリートの壁がありましたので、蚊をビニール袋で捕まえることにしました。

 

 どうやって蚊を虫かごに入れるか?


 まあ、これが大変な作業で、部屋中、蚊だらけ、レッスン中に蚊に刺され放題。


                   続く





 

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