『とある夫婦のお茶漬けの話』

人間の触覚

最後の晩餐

 アキオは仕事が終わって家に帰ってきた。

 妻のミカが出迎える。


 ミカはおかえりの挨拶をしてから、何かして欲しいかをアキオに聞く。

 アキオは手早く食べられる物を用意してと答える。


 ミカは分かったと台所に行く。

 アキオはミカの顔を見た事で安心したけど、気が抜けた事で疲れが一気に出てきてしまう。


 アキオはゆっくりと歩いて、台所の手前のリビングまで進む。

 そして服装を少し楽な感じにしつつ、テーブルにつく。


 台所でミカが食べ物を支度する。アキオはその音を聞くと、気持ちが楽になった。


 ミカが台所からリビングに戻ってきた。お茶漬けを作ってきてくれていた。

 アキオは食べ易くて良いと喜ぶ。


 少しの間お茶漬けの見た目を愉しんでから、アキオは食べ始める。

 アキオがお茶漬けを食べる。その様子をミカはアキオの向かいに座って見ていた。

 幸せな空気が、二人を包んでいた。



 その1時間後、アキオは息を引き取った。

 リビングのテーブルの上には、ご飯粒ひとつ残っていない空のお茶碗が蛍光灯の光に照らされて淡く輝いていた。

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