4篇:人間牧場・貳
──大学
シンクアの西に位置する広大な大学
今は、
発電施設に警護兵舎、食糧製造工場、浄水場、武器庫、駐車場、そして、
一見すると、刑務所の
それもその
後に築いたのが、ジョージの犯罪者、主に政治犯や思想犯を収容する為の刑務所。現、総督府。
中でも特別なのが、刑務所としての意図を引き継いだ、人間牧場。
大戦後に
放っておけば死滅しかけない人類を、どうにかして存続させる為に
人間牧場は、
シンクアの人間牧場には、
収容施設であると共に強制労働施設でもあり、
牧場からは、昼夜問わず、実に不快な叫び声や
更に混じる奇声、舌打ち、
トゥレット障害、
縁もゆかりもない者にとって牧場は、実に不愉快なジュークボックス。
──
電気が通っているにも関わらず、銀製の壁掛け
調度品は、
――ガコン……ボウッ。
鈍く
影からも分かる程、でっぷりとした姿が小さな人影に覆い被さる。
覆い被さる
――お楽しみ中…
ふごふごと
でぶった腹の下には、
少年のその
時折、ヒートアップして壊してしまう事もあるのだが、今の処、少年は大丈夫の
典型的な
権力の一角を握る者達にとって珍しくもない。
総督バズソー。
元
前任者タガワの処分後、シンクア総督に着任。
この男が総督に抜擢されたのは、
先代総督タガワは、住民を甘やかした結果、多くの権利主張を認め、要求を
まほろばの支配者は
結果、
彼は、
トントン。扉をノックする音。
――バズソー様、失礼致します。
官吏
午前中と云う時間帯もそうだが、
「お時間に御座います、
「ンぁああ~ン?もちっと待てぃ」
「閣下。最近、公務を放置
「ンん~?何件だぁ~?」
「987件に御座います」
「ンあ~、ちぃ~と溜まっちまってきとるなぁ~」
「
「ン、分かった。着替えるから
「ははっ!」
──
打ちっ放しの
奥には、形だけは立派な安物の
――ブッ、バフォ~~~ッ…プァンッ!
自分の屁の音を聞いて、一人大笑いしながら、どしりと玉座に座る。
「それでは、始める。入れろ!」官吏の一人が叫ぶ。
広間の大扉が開き、
容疑者達の首には、通し番号の入った木札が
「
「ンぁあ、分かった。続けよ」
「この者達は、
シンクアの秩序を著しく悪化させる犯罪者達に御座います」
「ンむ。まぁ、話を聞くか」
「それではお前達、申し開きをしたい者があれば、話してもよい」
互いの顔色を
「バズソー様、子供達をお返し下さい。2人以上の子を持つ家庭から二人目以降の健康な子を取り上げられては、将来、家族の
是非、お考え直し下さい」
バズソーは
「…ンん~?何の事だぁ?ちと、大臣。何の話だ、あれは?」
「はい、閣下。
「…ンぁ?何だそりゃぁ?」
「――ぁ…あ、あの、少年を強制徴収する為の法に御座います…」──ひそひそと話す。
「ン!アレか!!ンァーッハッハッハ~ッ!」
――
何の
一応、その理論付けとして、第一子がその親にとって最も若い内に出来た子であり、若い
――
長子優生論を基に、
無論、
少年性愛者であるバズソーが、自身の性欲を満たす為、常時、子供達を囲っておける法的根拠。
彼がこの法そのものを忘れてしまうのも無理はない。
単純に、法学者からの入れ
バズソー自身はどうでもいい話。
愛する少年達さえ
法的根拠等、町を統治する上での表向きな取り
「
「ンン~、それについては、大臣から話しをさせるので聞き届けよ」
「総督閣下に代わってお答え
「はい、大臣様。働き手が減ってしまっては、我々は、否、町は滅んでしまいます。是非とも、お考え直し下さいます
「先ず、働き手の減少は、無い!と、申し上げておきましょう」
「!?」
「劣勢次子矯正法に基づき集められた子達は、総督府管理下で共同生活をし、十分な教育を施しております。その子らは、官吏や兵士だけではなく、町で様々な職に就ける
従って、将来の人手不足は有り得ず、
「…
「心配無用です。将来、シンクアでは、今以上に配給率を高め、より安定した社会共生を目指している
家族と云う集団単位はよりスマートに、併し、町としての集団はより強く、理想的な集落が完成するのです。血の団結より、地の団結。理想社会誕生に立ち会う為、今は其の試練の
「……」
倫理観の崩壊した中、
容疑者達は沈黙し、意気消沈する。
「ふむ。申し開きは、以上の
「ンン、分かった。それじゃぁ~~~…」
バズソーは、
「ンン、お前らァ~ッ、全員、牧場行きィー!!!」
「!!!」
「判決は
「止めてくれ~!牧場送りだけは、
容疑者達の悲痛の叫びを聞き、恍惚とした表情で
「せめてもの俺からの
そう、バズソーは、少年性愛者にして、真性の
溜まりに溜まった裁判は、始まったばかり。
未だ未だ、
――地獄の門は、解き放たれた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます