第11話 ヒーローは遅れてやってくる
そっか、俺、刺されたんだ。
ということは今までのは走馬灯?
走馬灯か、思い出したのほとんど恭子のことだったなあ。笑っちゃうな、どんだけ好きなんだよ、あいつのこと。
楽しかったなあ、恭子に会って、いろんなとこ行って。
ああ、俺死ぬのか……
やだな。
もっと恭子といろんなとこ行きたい。
もっと恭子と一緒にいたい。
駄目だ、こんなところで、死ぬわけには——
いかない。
*
目を開くと、とても不安そうな顔をした恭子がいた。
恭子は俺に気づくと、泣きそうな顔をして、それがなんだかとても愛しくて、目に入る恭子のすべてが大好きで、愛おしくて、なんだか無性に抱きしめたかった。
だから口からは自然と言葉が漏れていた。
「結婚しよう」
すると恭子は、初めて告白したときみたいに目を丸くして、口をポカンと開けていた。
そうしてまたあのときのように、大きく笑って……
「いいよ。……やっぱりあんた面白い」
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