第1話 運命の人
神崎 恭子と出会ったのは大学の入学式だ。
落とし物を拾ってもらった、それだけの短い時間だったけど、綺麗な人だなと思った。
その後入った映画サークルで彼女と再会した時は、運命だなんて勝手に思ったりもしたよ。俺はその時にはもう彼女に惹かれていたんだ。
そうして飲み会やイベントが開かれるたびに、できるだけ彼女と話すようにした。
彼女と付き合いたかったってのもあるんだけど、ただ単純に彼女と話していると楽しかったってのもあるんだ。
*
恭子。
ポケットに入れていた彼女の写真。
それを見るとなんだか落ち着く。
俺は君のために、あいつを刺したんだ。
ビルにつけられた大型ディスプレイから、俺の名前が呼ばれたのが聞こえた。
容疑者。指名手配。
嫌な感じだ。
俺はフードを深くかぶって、早足でその場から離れた。
まだ捕まるわけにはいかない。
とにかく、彼女のもとに急がなくては。
大通りを少し外れると、あの場所に通りかかった。ここは、そうだ、あの映画を撮った場所だ。
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