重い記憶を吸い発芽する種。
その種を採り、記憶の木を預かる天ヶ瀬に治療に来た篤は近況の記憶が無かった。
本来、飲むべきではない者が種を飲むと生きるのに必要な記憶まで奪われる。
篤はその種を飲んでしまったという……。
持ち主の命を脅かすような辛い記憶。そんな記憶を抱える人の救いの場所である天ヶ瀬を舞台に、何故か種を飲んでしまった篤の記憶を遡る治療が続きます。何故、彼が、誰が持っていた種を、どうして飲んのか。
夢の中で取り戻していく記憶は……。
記憶を捨てるべきではないと思っても、やはり人はあまりに弱くて、時代や現実はあまりに過酷で。
篤くんと天ヶ瀬の二人の優しさがじんわりと救ってくれる物語でした。