あなたという存在を・・・私は一生忘れない

@Npwjgam

私と叔母

これは夢なのだろうか・・・

ちょうちんの灯りがたくさんある。まぶしくて目が開かない。

「・・あ・・・・め・・・・・・・・や・・・・め・・・・・」

私を呼ぶ声がする。なんて心地がいいんだろう。素敵な声。

このまま時が止まってしまえばいいのに・・・・・



2000年6月私は生まれた。

母に私が生まれたときのことを聞いたら

「元気に泣いていた」という。

名前は叔母が‘‘あやめ‘‘とつけてくれた。

由来は・・・・・・・由来なのだろうか?

叔母は花札が好きだった。その中でもあやめの札が一番好きだったという。

まあ、こんな理由で私はあやめになったわけだ。


2005年7月

私は叔母と縁側で花札をしていた。

相変わらず叔母は手加減というものを知らず、私はまだ一回も叔母に勝ったことが無い。

悔しそうな顔をしている私を見て叔母は

「悔しいかい?私もね、小さいころよく負かされてたわね~ふふふ。懐かしいわ」

と陽気に話していた。

何が「ふふふ」だ。馬鹿にしているのかと私はイライラした。

それを察したのかはわからないが、叔母はいきなり真剣な顔をして私にこう言った。

「あやめ。強くなってほしい。人として強くなってほしい。辛いことがあったら人に頼ってほしい。一人で抱え込まず、誰かに話してほしい。あやめは一人じゃないよ。おばあちゃんもずっとそばに居るからね。どうかおばあちゃんが言ったことを忘れないでほしい。あやめは一人じゃないからね。大丈夫よ。」

そういって叔母は私を強く抱きしめた。その言葉を言われたときにはイライラが消えていた。むしろイライラではなく、何か暖かいものが私の心を包み込んでいた。

なぜ叔母がこの話をしたのか当時は何もわからなかった。とにかく一番覚えているのは、私が一人ではないということだった。


次の日、叔母は倒れ病院に搬送され、亡くなった。

まるで、何かに呪われたかのように。

私は泣かなかった。それは、叔母に強くなってほしいと言われたからだ。

周りには‘‘酷く冷たい子‘‘とか言われたが、私は何を言われようとも泣かなかった。

あの日が私が叔母と話した最後の日だったとしても・・・・・


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