第5話 最後とか言って、違うじゃん。。。

昨日、湊さんの態度が変だった。会ったとか言いながらどこなのか言わないし、で、今日の予定とか聞いてどこに行くか言わないし、昔から知ってるけど、そんな人じゃないし。


「お早うございます、湊さん。」

「おはよう。さ、行こうか。」

「いや、どこに行くかだけでも教えて下さい。」

「秘密の場所。俺と、涼介の。会いたいんだろ?」

「いや、そうですけど。。。そんなとこないでしょ?」

「いや、あるんだよ。ほら、付いてこい。」

「う、うん。」


いや、何信じてるの?湊さんだからといって。お兄ちゃんと私の間に秘密ごとは無いはず。もちろん湊さんとも。訳が分からず、ただ混乱するのって苦手なのに。。。

でも、ほんとにそうだって言えるのかな?お兄ちゃんも湊さんもどっちとも男の人だし、6つも離れてるし。


「どうしたんだよ、そんな暗い顔して。」

「いや、別になんでもないですよ。」

「なあ、2人だけの時くらい昔みたいにタメ口でいいのに。」

「わ、わかった。」

「そう、そう。で、どうしたの?」

「ほんとになんでもないよ。少しびっくりしただけだし。」

「秘密ごとなんて無いはずなのに。。って?」

「え、そうだけど。」

「顔に書いてあるよ。」

「ふうん。」


気づくと、辺りは建物だらけだった景色が緑だけになって、とても広く感じる。

そこからもう少し歩いた。そしたら突然大きな小屋が姿を現した。


「ここ?」

「そう、ここ。ちょっとここで待ってて。」

「う、うん。」


いつの間にかしゃべり方が昔の優しいしゃべり方になってる。やっぱ、いい人だな、湊は。


「どうぞ、こっち。お茶も出すよ。」

「あ、ありがとう。」


周りを見渡すと昔の写真からいなくなる前の写真まで何百って数が貼るられてた。

中には3人で撮ったものや、湊の死んだ妹と4人で撮ったものもあった。


「これ、懐かしいね。ミズとウチがまだ年少の頃のだあ。ほら、黄色帽子かぶってる。」

「覚えてないかもだけど、この直前まで2人は喧嘩してたんだよ。で、俺たちで止めて、仲直りの印として撮ったものなんだよ。」

「そうなの?全然覚えてないや。」


ううん、ほんとは覚えてる。ミズが私のお人形を壊したんだ。それで私が怒って、喧嘩になったんだ。お兄ちゃんが止めに入った事も、写真を撮るまで少し手間取った事も。


「あ、これまだ残ってんじゃん。」

「え?それ、私がお兄ちゃんにあげたやつ。」

「違うよ、俺にだよ。香奈恵が作ってくれて、ここに飾ったんだった。」

「へえ。そうなんだ。」


違う。絶対お兄ちゃんに作ったやつだ。お誕生日にプレゼントしたやつだもん。

でも、なんで、、、、


「そういやさ、なんで、ここにきてたの?」

「うん?忘れた。」

「そう。。。」


嘘ついてる。目を会わせてくれないもん。でも、知りたくない。たぶんその先は暗いし、良くないはずだから。

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