第13話
「変なの...。」
取り残された私はただ彼が消えていった場所を静かに見つめる。
彼は色んな事を教えてくれた。最低な人だと思っていたけれど私を殺すチャンスなんていくらでもあったのに、ただわかりやすく説明をしてくれた。
優しい人なのかなって一瞬思ったが、そうやって相手を油断させる作戦なのかは分からない。けど、正直助かった点は幾つもあった。
気づけば服は制服に戻っている何がどうなってるんだか。
「帰ったらリンネにたくさん聞こ...。」
夕日に照らされた坂道、木々に囲まれたこの道は車を通らず静かなところ。
私と翠兄が見つけた秘密の下校道。そんな思い出の道を歩きながら今日あった事を思い出していた。
出会ったばかりの彼は何故なにも教えてくれないのだろうか。
自分の望みを叶えたくてこの世界に降り、契約をしたはずなのにパートナーがこんなんじゃダメだって知っているはず。
「何を恐れているんだろう...リンネは。」
家のドアに手をかけた。
私は、ドアを開きそのまま自分の部屋にリュックを置きリビングへ向う。
リビングにはリンネと黒髪のあの時モニター画面から教えてくれた赤と黒のツートンの人がいた。
「こんばんわ、そしてただいま。」
そう言って私は彼らの元へ向かう
「おっ、やっと帰って来たな麗爛。よし、今から会議だ。」
「麗爛ちゃん...だっけ?失礼してます。」
2人は向かい合わせに座っており、私はリンネの隣に座った。
想像以上に深刻そうな話をしているのに机の上に描かれている図(絵)は画伯すぎて少し笑えた。
「はじめまして...えっと...。」
「俺の名前は
「はっはい!」
道理でカリスマオーラ漂う人だなって思ったわけだ。
「で、話をもどすぞ。俺たちは昨日あの
「まぁ、現に遭遇したけどね。」
そう私が言うと周りの空気が下がった。「は?」という様な顔をするリンネと「えっ!?」と驚きを隠せていない羅遊さん。
「麗爛ちゃん...え?無傷??」
「あーいや、襲われてはないですよ!?ただ、あの時の続きをしようって言われて。」
「で?おめぇ戦ったのかよ。」
「ううん。お話したくらい。」
全く意味わからないという2人はお互いの顔を見てはもう一度爛の方をみた。
「はぁ?
「俺もそう思う。彼と遭遇して生き残った人もいなければ見逃してもらった人なんて...。」
「あっ、あっ...違いますよ!ちょっと
必死に説明をしようとする爛だが、案の定2人は飲み込むことが出来なかった。
「と、とりあえず麗爛ちゃん。夕飯俺が作っとくから詳しい話リンネに話しててくれる?」
そう言うと羅遊さんは台所へ向かった。
「よし、待っててね今から全部話す。」
「おう。詳しく教えろよ。」
「りょーかい。」
こうして、私は夕飯が出来るまで今日の出来事を話した。
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