第10話金色
光が降り注ぐあの瞬間、俺は自分の目を疑った。
金色の光、魔法陣。
額から流れる汗は 暑いからなのか、それとも冷や汗なのか。
今の俺には分からなかった。
頭が暑さで朦朧とする中、あの女は幸奪者をみて恐怖心を見せないどころか怒りに身を任せていた。
そりゃ、相手も驚くだろうな。
それが、泣きもせず自分に襲いかかってくるんだ。
「アイツもまた、前の契約者と同じ道を行かなければいいんだけどな。」
昨日の出来事を思い出しているリンネは、爛の帰りを待ちつつ神城家の家を彷徨く。
「.......遅せぇ。」
早めに帰ってこいと言ったかは覚えていないが、あまり外を彷徨くなと言ったはず。
(まさか、また
少し嫌な予感がした俺は、靴を履き外へ出ようとドアノブに手をかけた。
「うおっ...!」
「うわっ!!」
ドアを開けると同時に反対からドアを開かれた。
案の定俺は体制を崩し爛と頭をぶつけた。
「ってぇな...。お前今までどこ行ってたんだよ!!!!」
「あっ...えっとね。業務スーパでお買い物してたらその...。」
と、話を続けながら爛は一度周りを見てからスッと家に入った。
手には大量の袋。
(こいつどんだけ買ってんだよ...。)
とか、思いつつ俺も靴を脱ぎリビングへ戻る。
つーか確かに、玄関前で大声出したから周囲の人からは見られるだろうが、あそこまで嫌そうな顔しなくてもいいだろ。
なんてことを心の中でぶつくさ言っていると、台所の方から肉とデミグラスソースが絡むとてもいい匂いがした。
「リンネってハンバーグ食べれる?」
「いや、もし食べれなかったとしても聞くのおせぇだろ。」
考えることを止め俺は飯が置いてある机へ向かう。
「ねぇ、リンネ。」
「あ?なんだよ。」
爛は自分の右手をみつめながら言った。
「金色の魔法って...さ、そんなにすごいものなの...かな。」
何を言い出すかと思えばこれか。
「そりゃ、すげぇに決まってんだろ。世界に1人しか持っていなかったはずの力だしな。」
「そっか。」
そう納得いかないような顔で呟き爛はハンバーグを食べる。
それを見たリンネは何に納得いっていないのか分からずイライラし、ガチャんと大きく音を立て箸を置いた。
「なんだよ!言いたいことがあんなら言えよ!言わねぇとわかんねぇじゃねぇかよ!!」
部屋に響き渡るリンネの声。
「ううん、何でもないの。」
それに対し爛は消えそうな声で返した。
「ただ...この力はあっていけない気がしたの。」
「はぁ?嬉しくねぇのかよ。」
「ううん、嬉しいよ。でも、違う...。なんだろう、なんて言えばいいのかな...なんか怖い。」
「は?世界に1人しか持ったことのない力だからか?」
何が言いたいのかわからないリンネは、爛を疑うような目で見ている。
世界にたった1人しか持ったことのない力を喜ばず恐れる。
普通は選ばれし者になった気持ちで舞い踊るくらいに嬉しいはずなのに。
「私、この力を使った時思ったの。これは、人の意思が己の欲望に飲み込まれているんじゃないかって。」
そう、望みの大きさで。
ただ、まだその力の意味を知るものはいない。
いや、いなくなってしまったんだ。
世界を作り上げた神の称号を持つ
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