第7話 幸奪
世界で一番大きく目立つ城。
塀の所には棘があり、入口の門は顔認証式となっている。黒くそして、赤い薔薇が壁にまとわりついて、城の中には高価なものが大量に飾られている。 どの部屋よりも広く、一つの大きなシャンデリアが食卓を照らしているところへ、ナイトメアは足を運んだ。
「ただいまー。」
「あら、メアちゃんなんかご機嫌斜めじゃない?」
「...別に。」
椅子を引き、はぁ...とため息を付きながらナイフとフォークを手に持ちステーキを食べる。
この城に住むものは皆、ナイトメアの事を略してメアと呼んでいる。いつも、おちゃらけなメアがご機嫌斜めで部屋の空気が重たくなっていった。
「も、もしかしてラミスが戦闘の邪魔しちゃったから...?」
「いや、そういう訳じゃないけど守護者を仕留める事が出来なかったの!」
そう、メアが言うとこの場にいるラミスとその双子のラルス、そして初めにメアに声をかけたティリラが目を丸くした。
「えっ?あのメアさんが...?」
「そーだよ。はぁ...ほんとだったら結界の中で殺すつもりだったのに壊された。」
その一言に場の空気が凍った。
メアは、今までの戦った相手は全て排除してきた。全て彼の思い通りに行き技を破るものものいなかったからだ。
「まぁ、確実に次は殺すというか排除する。」
声のトーンを低くしてそう呟くと、皿を片付け1人その場を去った。
メアが部屋を出てったあと、残された3人はしばらくその扉を見ていた。
「でも、メアちゃんのお遊びが失敗するだなんてアタシびっくりだわぁ。」
「ラミスもそう思うー。」
「あなた達2人の、言葉を聞くと女性が話してるみたいなのに声は嘘を付きませんね。」
ははっ、と軽く笑いラルスも扉に手をかける。
「ティリラさん、ごちそうさまでした。ラミスいい加減女装やめて着替えて、」
「えー、やっだねー。まだ、俺はラミスちゃんでいたい。」
「あっそ、じゃあ僕先に行ってくるから。」
「え!?どこに?」
「メアさんと戦ってた人を探しに。」
そう、言ってラルスは部屋を出ていき原世界へと繋なくゲートを開いた。
それと同時にラミスもゲートが消える前にラルスが通ったゲートに走り込んで行った。
「ほんと、双子ちゃんも好奇心いっぱいで若いわ〜。」
1人残されたティリラ・ノームはラミスがそのままにした皿を片付け、自室に戻って行った。
1日が終わる頃、ベッドで横たわる1人の少女。
「お兄ちゃん...私、頑張るね。」
金色がかったクリーム色の髪は夜風に靡き、赤い目はどこを見ているか分からない虚ろな瞳。
「もし、契約の望みが叶ったらお兄ちゃんも幸せになれるよね...だからお願い。その時は...。」
私にもう1度あの時の笑顔を見せて...翠にぃ。
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