第4話領地
窓から飛び出し、そのまま目的地へ駆けてゆく。水分補給もろくにせず、この炎天下の中に足を踏み出してしまったのは自己管理不足だ。
ご近所のさんの郵便ポストに足をかけては、その勢いで屋根の上まで飛んでいく、私には到底できない。ただ、彼に担がれている状態で落ちるか落ちないかの恐怖がある。
(わぁー世界が逆さまだぁ...。)
なんて、愉快な事を考えていたら急降下。
「ちょっ!まっ...!ぶつかる落ちる!!」
「うるせえ!黙ってろ!!暴れるとマジで落ちるぞ!」
「うっ...ごめん。」
「はぁ...もう大丈夫だ、おりろ。」
トッ...と軽く着地した先は薄暗く空気が冷たかった。。路地裏ような所だが、こんな所あったっけ...?
「いい感じに飲み込まれたか...。」
「飲み込まれたって...?」
辺りを見回すと通行人もいない。人の声すらもない。
「このまま此処にいると敵の領域だ、すぐに殺られるな。」
「そんな...!」
「お前さ、まだ契約したのに守護者としての力ねぇだろ。」
「そんな話、今はじめて聞いたんだけど。」
そう爛が言うと、リンネは手から小さいモニターを出しそれを拡大させた。
「おい、羅遊。聞こえるか?」
「あ!リンネ君か、無事契約出来たんだ、良かったね。」
モニターからニコニコ笑顔で溢れるカリスマオーラの男性。
「とても嫌な望み同士の契約だったがな。」
そう嫌味っぽく言うとチラッと爛の方を見た。
「わりぃ羅遊。コイツに
「ん、いいよ。じゃあ、かわい子ちゃん俺が教えてあげるね。」
そうニコッと笑い赤と黒のツートーンの彼は話し始めた。
「おい、爛。こいつの説明が終わったら俺の所こいよ。俺は先に領地ぶっ壊してっから。」
くるっとモニターに背をむけ、ガンッと鎌で透明な壁を攻撃し始めた。
「おーい、爛ちゃーん。」
「はっ...はい!」
「お、我に帰ったね。それじゃあ簡単に教えるね。」
羅遊は1度ふぅ...と息を吐いて話し始めた。
「守護者名というのは、幸奪界の者に名を知られると戦闘以外のところでも接触される可能性が高い。そのため、戦闘の時や戦友といる時に呼び合うための名前が必要となる。」
「つまり、もう一つの名前って事ですか...?」
「その通り!ちなみに守護者名が必要なのは原世界での人間だけだからリンネはない。そして、守護者名をつけた時!」
「...つけた時?」
「初めて守護者としての能力、力が宿るのさ。」
その言葉と同時に爛の足元に金色に光る魔法陣が描かれた。
「今から守護者名を言え。俺が向こうと繋がる陣を描いといてやったから、名が決まったらこう唱えろ。契約し今本来の力を手にするべし、我の名は____。だ覚えたか?」
「ざっくりとはね。羅遊さん、説明ありがとうございました!」
「どういたしまして。じゃあ俺はそろほろ仕事だからじゃあね。」
プツンっとモニター画面が切れ、私は深呼吸をする。
昔、お兄ちゃんと戦隊ものごっこしていた時お互い名前をつけていたよね。お兄ちゃんが私に付けてくれた名前...。
「契約し今本来の力を手にするべし、我の名は__麗爛。」
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