第3夢喰
「つまりは、契約ってやつはお互いの望みを賭けどちらかの望みが叶えばもう片方も叶うって訳だ。」
「なのに、私達は正反対の望みの契約となってしまったと...?」
「あぁ、そうだよ!!」
太陽の日が部屋の中を照らしまた、一日が始まった。
でも、それはいつもと違う日で朝ごはんを食べて洗い物して...とごく普通の朝ではなく新手の勉強会が始まっていた。爛が目を覚ましたときにはリンネは机の上に紙とペンを用意し図を描いていた。
「あ、そーいやぁお前なんて名前だ?」
「昨晩名乗ったのに、やっぱ流されてたんですね。神城 爛です。」
「おーじゃあ爛な。苗字なげぇから。あと、敬語やめろ気持ちわりぃ。」
「はいはい、わかった。改めてよろしくねリンネ。」
お互いの軽い紹介が終わり、リンネは紙に目をやった。
何故、この家に爛しかいないのか。何故、こんな命に関わることになったのに平然としていられるのか。たくさん謎がある彼女に、リンネは何も言わずただ、契約についての図を描き続ける。
「ふぅ...。」
汗がじれったい、ジリジリと照りつけるような暑さと蝉の鳴き声。はぁ、とため息を漏らすリンネは紙から目を離し爛の方を見た。
「おい。お前暑くねぇのかよ。」
「いや、これでも結構限界...エアコンつける?」
「あんなら、さっさとつけろよ!」
「そんな怒んないでよ!つけるタイミングなかったんだもん...。待ってて。」
ソファから立ちエアコンの方へ向かう。窓を閉め、リモコンのスイッチをいれた。さっきまで煩かった蝉の鳴き声も聞こえなくなり、外を見ると太陽の光がジリジリと照りつけて目が眩むよう。遠くからは救急車の音がする。
「これは、熱中症になりかねないね...。」
「あ?」
「ううん。なんでもない。じゃああと少しで涼しくなるし契約について教えて。」
ソファに戻り、リンネが描いていた図に目をやる。右から救与界、原世界、幸奪界と文字に書かれ、その文字の下に棒人間が書かれている。幸奪界の棒人間の隣にはお化けのような絵もセットに描かれていた。
「このお化けみたいなのは?」
そう、爛が問うとリンネはお化けを原世界の下に描かれた棒人間の方へ線を引いた。
「この、うにょってる奴は夢喰(バグ)だ。お前も聞いたことはあるだろ?」
「人の夢たべちゃうやつだよね?」
「あぁ、だがコイツは夢を喰うだけでなく人の望みも喰らう。」
「望みを...?」
どういうことか、分からない爛を見て説明しようと口を開けた時だった。
ツキーンと頭が痛む感覚何かに迫られているような恐怖感。
「な、に...この嫌な感じは...。」
「説明するより先にきやがったか...夢喰共が...おい、行くぞ爛。」
そう言うと、リンネはソファから立ち術を唱える。爛の脳内に地図の映像が映る、そして赤いランプが一箇所。
「光ってる部分に夢喰がいる。お前は戦わなくていい。近くで見てろ。ついでに、契約がどれだけ危険なのかも知るためにな。手貸せ、一気に飛ぶぞ。」
「えっ...?ちょっと待っ...!」
炎天下、熱中症にならないように気をつけないと...ね?
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