第2話正反対
アナウンスが終わると、リンネと爛は元の場所に戻っていた。
深夜2時、あの世界にいた時間は短かったはずだが、こちらのせかいでは2時間進んでいた。明日が土曜日だった事が救いだろう。
「おい。」
不機嫌な声が部屋に響く。
「な、なんですか...?」
「お前さ、なにクソみてぇな望みで契約してんだよ。」
土足で爛の家のソファにドガッと座り言うリンネは、まるで過去に何かあったかのようにその望みを否定する。
「それは...誰かが幸せになって笑顔になると自分も幸せになるじゃないですか。」
爛もリンネの向かい側に座りそう言った。
「あっそ、まぁいい。今から契約について話す。紙とペン貸せ。」
「え、待って今深夜ですよ。寝ないと体に悪いと思いますよ...?」
冷静に返されたのが癪に障ったのか、ソファに横になりぶっきらぼうに「じゃあ明日説明してやる。俺は寝る。」といい三秒で睡眠に入った。
「自分勝手すぎる...。けど久しぶりだなぁ、家に人がいるなんて。」
そうクスッと笑い爛も眠りについた。
1人の少年の瞳には、どよんだ世界が映っていた。欲望に溺れ飲み込まれた人々の霊。夢を奪われた絶望した人々の顔。契約を破壊され人々から存在を忘れられた哀れな守護者(ガーディアン)。
「ははっ...よっわ...薄っぺらい望みだね。...さようなら。」
共に泣き叫ぶ契約者。
少年の口元が弧を描く。美味しいものをありがとうと言わんばかりの歪んだ笑顔。
「行こう夢喰(バグ)。また、1人契約者が増えたんだから、壊さなくちゃ望みを...ね?」
少年は夢喰闇植(ナイトメア)。
可愛らしい顔をしている彼は色んな人の所に言っては望みを聞き出し奪う。
「次のターゲットは新人契約者にしよっかなー?でも、ベテランが負ける姿も結構面白いんだよね。て、あ!もうこの世界のベテランいないんだった!」
「メア行くぞ。」
凛とした声。
「あ、ゴメン翠。つい面白くなっちゃって。」
コテンと首を傾げながら許してと手を合わせた。
「終わったんだろ、早く戻るぞ。」
「はぁーい。」
そして、二つの影は闇に溶け込むように消えていった。
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