圧倒的な描写力。
情景がとても丁寧に描かれていて、文章を読みながらその場面の「画」がすんなりと想像できる。
特に戦闘シーンの疾走感、スピード感がすごい。ついでに恐怖感まで煽られるから、読みながらドキドキが止まりません。
心理描写もしっかりとされていてキャラ達への共感と親しみが湧いてくる。ひとつひとつの動きに、それぞれの人物の個性も出ていて。
そう、癖の強い……個性的なキャラクターたちも魅力です。まだまだ本性のわからない人もいますが、これだけの人物が居て、キャラ被りしてないって、すごい。
全編に渡ってシリアスなのだけど、時々差し込まれるコメディタッチのシーンにクスっとさせられるもの読み心地がいい。適度な緩急、というか。
次々と襲い来る異形や困難は本当に容赦がないけど(本当に!容赦なさすぎ!)、荒廃した、どこか陰鬱とした世界観の中で、それでも明るく前向きな主人公の姿に人間の強さが見えて救われる。いや、人間らしい、恐れる気持ち、異形に対する恐怖を抱えながらも立ち向かおうとする、強さが眩しい。
精緻に組み上げられた世界に感動し、物語の展開に興奮しつつ、しかも多彩なキャラクターたちに心奪われる。キャラ萌えと言ったら失礼かもしれないけど、本当にみんな、いいキャラなんです。
主人公のユダちゃんは、戦闘能力こそそれほど高くはないけど、とにかく素直で明るい。正義感が強く、純粋で魅力的。良心にあふれる彼女が傍に居るからこそ、チート級の強さを誇る相棒の力が、善い様に振るわれるのだと思う。
(相棒ってのも、いいですよね。それにしても”ユダ”=裏切り者の名には何か意味があるのだろうか)
その、怪しさ満載の相棒ガラハッドくんも、常に論理的と見せかけてちょいちょい覗く人間らしさが素敵。
軽薄に見せかけて実は熱血いい人(でも手が早い)サイさん、
言いたいことを言ってくれるラナちゃん、
オタクモード発動時以外はおっとり癒し系のメリルさん、
まだまだ子供な美少年エスターくん、
胡散臭いけどついつい気になるデューイさん、
無口でクールな剣士フレドリックさん、
美形で怪力とか美味しすぎるカイルさん、
いい人を体現してるヴァイスさん、
そして彼がいないと色々まとまらなさそうな、レヴィンさん。
ほかにも、まだまだ気になる人たちがいます。
第25話時点でのレヴューというか、感想なので、思い違いもたくさんしてるかもしれません。
今後彼らがどうなっていくのか。様々な謎は解き明かされていくのか(とりあえず、主人公の失われた記憶と相棒の正体が気になり過ぎる)本当に、続きが楽しみでならない小説です。