一行怪談

狂気

貝殻だとおもって集めたのに全部人の爪だったからがっかりして捨てた




火事だというので部屋の窓から外をのぞいてみたら、大勢の人が炎の向こうからぼくを指さしていた。




上の階の住人の足音が家じゅうどこに行ってもついてくる




水槽のなかの人魚が朝になると一匹減っているので餌を増やすことにした




学生時代に訪れた異国の街の路地裏をのぞきこんだら、あの日のわたしがまだ迷っていた





(PHP研究所主催 一行怪談創作コンテスト応募作品)




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