23.開かれた道

「まだ皆と話し合いはしていない」


「そうですか…では致し方ありません。我々もゼウス様の命を受けています故」


一団から抜け出していたガブリエルは後方に下がると、それぞれは天装衣を纏い各々に天言を開いた。そうして八方に散っていく影に沈み込んでしまったアイレーナに、「(声)」の掛からなかったラファールは心配はいらないと言う。彼等には我々をどうこうしようとする気など鼻からなかったのだ。


「(かような日に申し訳ありません。手合せを些事にしていただければ我々は引きます故)」


「(えぇ、ありがとう)」


「(…ラファエル様、私に疑問に思うのです。ゼウス様はなぜルシフェル様と対峙してまで、この地上にこだわられたのでしょうか…あれ以来天界は不穏を抱えたまま静寂しているようです…)」


「(…時に、ミュハエルはどうしている?。ルシファーが目覚めた時には姿を現すばかりと思っていた)」


「(ミュハエル様は召集にも応じず根城にこもったままです。

実は…私共々、今回のルシフェル様の件を知ったのは先程の事でした。

天概から目覚めた時には、ミュハエル様か私が使わされるものだと思っておりましたから…)」


「(そう…)」

ミュハエルは何か知って動こうとしないのだろうか…


「(では…)」


天言領域から姿を消したガブリエルは相変わらず礼儀正しかった。

ラファールは空を観た…


ルキア(ルキイエル)

破剣・キュリオス

VS

制剣・ロンデニア

ガブリエル


セリア(サティナエル)

光剣・ブリジット

VS

焔剣・イスカ

ウリエル


ウィゼル(アザゼル)

輝剣・グラム

VS

浮剣・ミラージュ

レミエル


カミーユ(カマエル)

永剣・インフェリア

VS

甲剣・デュランダル

ハニエル


アナスタシア(スティナエル)

透剣・アスカロン

VS

烈拳・エクス

ラグエル


互いに交わされる一戦にはゼウスの意向を思う者はいない。

対等する天使の手合いにただ純粋に心は高揚していた。

アナスタシアとラグエルは仲が良く、久しぶりの一戦に熱が入っていた。互いのアストラルに合わせ持ち手を変えるように剣には剣を、拳には拳を。

ウィゼルとレミエルは、このドライアドの大地の後々の引き上げなどについて「(語らっていた)」。

ハニエルは裏地世界(それぞれのセフィラーにある)の散策にカミーユを誘い、ルキアは腕を上げたガブリエルを褒めていた。


引き際を推し量っていると突然の感覚に天使達は動きを止めた。

一体どう言う事なのだろうか⁉︎

この世界のパスは堕天した七天使の折り、約二千年ものあいだ閉ざされていたはずだが…

天眼の眼に世界が広漠と広がり、局所的だった天言領域の霧をも振り払った。思い掛けない事態の様相に不穏を察した天使達の予感は、世界各地に降り立った幼天使の姿に、現実のモノへと化していくのだった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る