22.天使達の集い
天使達の集い
「(すまないな。待っていてくれたのだろ?)」
折を観て現れた上空の気配にルキアは言った。
「(えぇ、勿論です)」
ドライアドの傘を潜りやって来た天使達。白面に記された光印もその翼も見知った者達である。
ガブリエル
ウリエル
レミエル
ハニエル
ラグエル
「皆様、御元気そうでなによりです」
片手を胸に添え慎ましやかに会釈したのは、十一天球の一つを守護するイェソドのガブリエルである。
「元気そうね」
「はい。ラファエル様も」
一堂に会えする天使達はまさに錚々たる顔ぶれである。過去と現在を問わなければ、ケルテ・ティファレト・ダアトを除いたのセフィラーの守護者達が勢揃いしていたのだ。
「…皆様が天概からお目覚めになったので、何かあったのだとは思いましたが、まさかルシフェル様がお亡くなりになられたとは…残念でなりません」
ガブリエルは息をつくと気持ちを切り替えたように表情を据えた。
「…それでは本題に入らせていただきます。このまま天界にお戻り頂けないでしょうか?」
堕天した七天使達は確かに追われる身ではあったが、地球人類の殲滅を唱えたゼウスに剣を向けたのはルシファーただ一人。多くの天使達は背光を背にするゼウスに盲目的と言ってよかった。
彼がその剣を手にしてまでゼウスと対立しなければ、堕天した天使達は反意を通そうとは思わなかったのがの主要ではあるが…
今に至るにはゼウスの心中に不信感を抱かずにはいられなかった。
もっともらしい言葉を並べ立てて語られる講釈よりも、ルシファーの言い放った言葉が心に響いたのだ。
「別に救えと言ってる訳じゃない。放って置けと言っている!」
そうして、背光の成す決闘の領域は主座の広間にて。激突した二人の戦いは鮮烈に火花を散らしたのだ。
二人の力量は拮抗していた。敢えて優劣をつけるならば自力はルシファーの方が優っていたのだろうが…
しかし、拮抗状態に陥っていた時点でルシファーの敗北は決していたのだ。
背光を背にしているゼウスに天力の限りはない。ある程の所で折り合いは付けるものだと思っていたが、大開口のテラスまで追い込まれたルシファーに、その輝光するアストラルをゼウスは収めようとはしなかった。
放たれるゼウスのアストラル。
白面を解いたルシファーは抵抗をする事もなくゼウスを見返すのだ。
そして誰もが終わりを観た…
その瞬間だった。ルシファーの前に一人の天使が身を呈した。その光景は居合わせたの天使達の目に今も焼き付いている事だろう。
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