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「んー…大丈夫じゃない?いざとなったら逃げればいいし」


「エンカウントせずに避ける、っつー方法もあるぞ」


「…ソレは大丈夫と言える…」


「っと、止まれ」



ものすごい適当なショコラに合わせるように言ったら兵士が心配そうに返し…



その途中でこの先の敵の陣営……少数なのに陣営って言っていいのかね…?



とりあえず陣営っつーか部隊に動きがあったので兵士の言葉を途中で遮って制止の指示を出す。



「…なんかあった?」


「さきがけ的なのが二人来る」



兵士だけ止まらせて俺らは普通に進みながらショコラの問いに答えた。



「…あ、アレかぁ」


「右と左どっちいく?」


「両方」


「は?…あ」



直ぐにこっち向かって走って来る人間が視界に入ったのでショコラが呟き、今回は選ばせてあげよう…と聞くと欲張った答えを言って土魔術を使う。



…うっわー、エグい…



ちょっと地面を隆起させてつまづかせ、地面に手を着こうとした場所を鋭く針状に隆起させて手を貫通させ…



そのまま鋭く針状に隆起させたのを伸ばして頭まで貫くとは…



しかも左右の二人同時に。



…まさかこんなエグい事が出来るなんて…



まあ普通の魔術師にはまず無理な芸当だろうが。



つーかこんなん俺が良くやる初見殺しやん。



相手に自分がバレてないからこそ出来る方法だと思う。



普通はつまづいて、手を着いた先の地面が鋭く尖るなんて思いもしないし…



ソレが伸びて顔にも刺さるなんて予想できねーだろ。



「オッケーだよ」


「…一体なにが…?」



敵の男が二人、倒れたと同時に魔術を解除して地面を元に戻していたのでショコラの合図に兵士は困惑した様子で呟く。



…わずか5秒にも満たない時間で殺したからなぁ…



こいつからしたら男達がこけたと思ったら死んでる…なら、そりゃ困惑もするわ。



「…マズイな、ちょっと気づかれたかもしれん」


「そなの?」



倒した二人とインカム的な無線でやりとりしてたのか、しようとしたのか分からんが…



とりあえず倒したのが敵にバレたっぽいようなオーラを感じるので知らせると、確認するように聞いてくる。



「…ソレにこの感じ…弓兵がいるかも、弓かボウガンかまでは分からんけど」


「…そんな事まで分かるの?」


「お前もそろそろ探れるだろ?なんつーか、遠くから攻撃するやつ特有の狙撃の集中力?みたいなピリピリした気配がする」


「ふーん?……あ、確かに…これ居るね、二人だけか」



俺の忠告にショコラが何故か驚いたように聞くので、気配を探るよう促すと同意して人数を当てた。



「どうする?」


「どうするも何もこっち来てんじゃん」



敵も一応隠れながら移動してて、まだ目視出来る位置に居ないけど、俺もショコラも既に動きを把握している。



「そろそろ見えるかな」


「…えいっ」


「「「ぎゃあああ!!!」」」



町の出入り口付近に近づき、建物も今通り過ぎたので最後だから敵を目視出来るかと思い呟いたら…



どうやらショコラが無詠唱の魔術で先制攻撃をかましていたらしく敵の悲鳴が聞こえた。



「…おいおい、倒すの早すぎねぇか?」


「こんな雑魚と戦っても暇潰しにもならないし、楽しくないもん」



柵の向こう側に倒れている三人の男を見て問うと、不満とか不快とかいったような反応は見せずに普通に答える。



…残り三人…ってか俺、最初の襲いかかって来た奴らを撃退してからは何もしてないんだが。



何かしようとする前にショコラが片付けるし。



…いや、まあ楽だから問題は無いし、むしろ面倒ごとが減ってありがたいんだけどね。



「一応一人は生かしておけよ…って、あ」


「…逃げた、ね」


「だな、戦意が感じられなくなったし」



三人の気配が俺らの方向じゃない別の方向にバラけて移動したので、多分逃走だろう…と結論づけた。

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