24

「護衛を任されました、ラン伍長です!」


「同じく、フラル伍長です!」


「護衛だとさ」


「いらない」



建物を出ると兵士が二人待っていて、俺らを見て敬礼して自己紹介を始めたからショコラに振ると拒否して早足で歩き出す。



「だよなー」


「あ、あの…!」


「ここはすでに危険区域でして…!」



俺も賛同してショコラに合わせるように早足で歩くと兵士二人が困ったように駆け寄ってくる。



「自分の身は自分で守れるよ」


「だって、そっちは人員割いてる余裕あるの?」


「ですが…!少佐の命令で…」


「我々としても、部隊に合流したいのはやまやまですが…」



ショコラのにべもない断りに乗っかるように聞くとなおも困った様子でついて来た。



「…おっと、30m先に5人いるぞ」


「ほんと?」


「あの…」


「何を…?」



町の入口付近の建物の陰に待ち伏せしているんであろう人の気配を感じ、ショコラに告げて無名に手をかけると兵士二人は困惑したまま問う。



「…危ないから離れてた方がいいよ?」


「右行くから左よろしく」


「「「死ねえぇ!」」」



ショコラが兵士二人に忠告したので役割分担で半分担当すると告げ、右の建物に近づくと剣を振りかぶった男達が襲いかかってくる。



「「なっ…!!?」」


「「死ねえぇ!!」」



兵士二人にとってはいきなりの襲撃になるので驚いたように剣に手をかけたら、ショコラが近づいた左の建物からも男達が出てきた。



…軍服、じゃないな…私服のようで微妙にデザインが一緒っぽいから…なんらかの組織的な犯行?



男達の格好を見てどこの国か見分けようとしたが軍人の格好じゃない。



…服のデザインの統一性から見てどちらかと言えば特殊部隊とかの線もあるが…



俺は敵がどこかを考えつつも襲いかかって来た男達を瞬殺する。



「…は、早い…!」


「こっちもだ…!待ち伏せされた複数の敵に襲いかかられたのに瞬殺…!」



兵士の一人は俺の方を見て、あと一人の兵士はショコラの方を見て驚愕した様子で呟く。



「…げ」



この先の町を出て直ぐの所に数人…一部隊?ぐらいいやがるぜ…



もしかして反対側から仕掛けて来たのは陽動だった系?



「どうしたの?」



俺の呟きが聞こえたのかショコラが不思議そうに首を傾げた。



「…この先に多分一部隊ぐらいの人数がいる」


「へー、って事はあっちは陽動?」



どうしたものか…的な感じで返すとショコラは振り向いて俺と同じ考えを疑問形で言う。



「あの、一体何が…?」


「どうする?」


「邪魔なら倒しとく?…なんか今来てるあっちは陽動っぽくて、この先にいるのが本隊らしいよ?報告して来た方がいいんじゃないかな」



兵士の問いをシカトしてショコラに聞くと親切にもあと一人の兵士に今の状況を伝え、優しく指示をする。



「本当ですか!?…では、自分が少佐に報告して来ますので…!」


「了解です」



兵士の一人は驚くとあと一人とアイコンタクトを取って走って行く。



「何人くらいか分かる?」


「流石にここまで距離が離れてると正確な人数はな…8人前後ってトコだろ」



町から出るように歩き始めるとショコラが聞いてくるので直勘が反応した時の事を思い出して曖昧に答えた。



…500mは離れてんだから今の平常モードじゃ集中しないと気配は探れねぇって。



「8人かぁ…分隊としてはちょっと少ないね」


「まあ町の外で待ち構えてるワケじゃ無さそうだし…隠れてはいると思うが」


「…ちょくちょく挟んでくるよね」


「お、良く分かったな」



ショコラの呟きにたった今閃いたオヤジギャグを言って返すと、気づいたのか呆れたようにツッコむ。



「そりゃこんな状況で待ち構えてるなんて言葉は使わないって…」


「普通は町の外で待機中で、隠れてる可能性あり…とかだからねぇ」


「あの…そのまま進んで大丈夫なんですか?」



ショコラと雑談しながら早歩きで進んでると…町の出入り口が近くなってきたからか兵士の一人が心配そうに尋ねる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る