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そもそも受け身ばっかじゃあ攻めてくる女の子に新鮮さが無くなってしまう。



新鮮さが無いと飽きてくるし…そうなると一気に冷めて、好感度が逆転して愛想を尽かされる可能性だって…



ほら、百年の恋も冷めるとかなんとかの言葉もあるぐらいだから、そういうのも無くはないかも。



だからたまには俺の方からも攻めないといけないっつー。



ギャップ萌え…とはちょっと違うけど、女性陣が飽きないように時折はこういう風に刺激を与えないとね。



…面倒だし、俺のキャラに合わないし、本当に欲望に負けたらヤバイ…



マジで襲ったらどうしよう的な心配があったりもするが、しょうがない。



そうしないと人間関係は円滑にいかないからさ。



…魔物や妖怪になってまで人間関係を気にするなんて…



世知辛い世の中だぜ、ホント…はぁ…



その後に太ももを撫で回したところでショコラがノックもせずに部屋に入って来たので予想通り途中で終わった。



…当然ショコラが来るのが分かってたから部屋に入る前にマキナから離れたよ?



「どうだった?」


「え?…特に何も無いよ?」


「何かあってたまるか」



ショコラの問いにマキナは虚を突かれたような反応をするが、どっちとも取れる返事をしたので…



俺はエルーとの間に何も無かった事を強調する。



「えー、つまんなーい」


「…あ、そっち…」



面白くなさそうな呟きを聞いてマキナは質問の意図を理解できたらしく、聞こえるか聞こえないかぐらいのギリギリの音量で呟く。



「俺はお前らと違ってノーマルなんでな、男には絶対目覚めねぇ」


「でもノンケが堕とされるのも面白いから、私たちはていとがノーマルでも構わないよ?ねえ?」



俺がBL断固拒否!と告げたらショコラは恐ろしい事を言ってマキナに同意を求めた。



「あ、うん」


「…ソレは妄想や二次元の中に留めておけよ…なぜに現実にまで持ってくる?」


「だって異国では、事実は小説より奇なり…って言うんでしょ?」


「…論破された…」



呆れながら若干うんざりした感じでショコラに聞くと、まさかのぐうの音も出ないような事を言われ…



俺の対話力というか言語力というか…会話力?語彙力?レスポンス力?



…とりあえずなんらかの力不足により何も返せなかったので、もう笑うしかない…状態になる。



『事実は小説より奇なり』っていわば現実離れした二次元よりも凄い事や面白い事が現実に起きる…的な意味だからなぁ…



二次元よりも面白い事を現実に期待してるんなら、アイツらの今までの行動も納得やわ。



…ただ、納得はできても受け入れる事だけはたとえ天地がひっくり返ろうともあり得ないが。



…だけどエリアレベルのやつが女みたいに迫って来たら…男だと分かっていても危なそうだ。



…何も言い返せなかったので、俺はこれ以上何か言われる前に…!とみっともなく逃げるように部屋を出た。



くっ…!まさか女の子に言い負かされて部屋を追い出されるとは…!



かっこ悪くてみじめだが俺の力不足のせいなのだからしょうがない。



…まあ、かと言ってムキになって逆に言い負かせても大人気ないと言うか、後味が悪いだけだからな…



…コレも負けてしまったからただの言い訳になってしまうのが悲しいぜ。



せめて余裕があってワザと負けてあげた…的な状況の時に言わないと…



負けて逃げてる最中に言えば紛う事なき言い訳だし。



しかもかなりかっこ悪い方の。



…はあ、とりあえず暇になったし気分転換するために精霊用の金属防具一式的なやつでも作ってみようかね。



…うーむ、魔剣からの人化だから…装備するにしても…魔剣に埋め込むにも……性能が分からん事には、か…



廊下を歩きながらどういう風にするかを軽く考えつつ、いつもの部屋に到着。



…精霊、しかも人化してるから身体は人間よりもかなり頑丈…



人間なら多少無理がある感じだとしても大丈夫だろうから…



……とりあえず最初は適当な形で作ってみてから精霊用に調整、かな?



材料は…



「ていとていと、ここー?」



部屋の中で紙に色々と書き込みながら計画を立ててるとショコラがまたしてもノックせずに入って来る。



「…なんの用だ?」


「ジャジャーン!コレ!」



さっきの事が若干尾を引いてるので不機嫌…とまではいかないような感じで聞いたらショコラが何かを取り出す。



「…金属の小手?」


「ていとの金属防具一式をコピーした試作品第一号!」



俺が金属防具一式の最初のパーツとして作った箇所と同じ防具に見えるので、そう答えるとどうやら当たってたらしい。



…見た目は当然俺のとは全然違うけど。

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