10
「うん、朝食前には終わらせたいかな」
「そうか、まあ俺にはどうでもいいが…クリスタル」
マキナの返事にどうでもよさげな言い方で返して小箱からアレを取り出す。
…名称を決めてないのに、形を言うだけで目的の物が出てくるっていう小箱のサーチ機能が便利過ぎてヤバイ。
『剣』と言えば無名やその他も色々出てくるのは当たり前として…
『無名』と言って俺の最高傑作の内の一振りが出てくるのはどういう原理だろう?
名前でもサーチしてくれるなんて使い勝手が良すぎて、もうコレ無しでは不便過ぎて生活出来なくなってるかもしれん…
「…俺は先に行ってるぞ」
「うん、多分直ぐイく」
「…起動」
エルーが部屋を出ようとして声をかけた後のマキナの返事がなぜかエロく聞こえてしまう不思議。
…言い方なのか?発音?イントネーション?それとも俺の耳がアレなのか…?
「おーわり!」
俺が多少考えてる間に論文が書き上がったのか、さっきまで何も持ってなかったハズの手に紙の束が掴まれている。
…戻ってきてから直ぐに生身で入って行ったんだろうな…
少し考えてる間に時間がかかる作業があっという間に終わる、とか時間効率ぱねぇぜ。
「んじゃま、オフ」
「私の体感時間では二週間ぐらいかかった感じがしたけど…現実ではたったの二秒なの?」
アレの発動を止めて小箱にしまうとマキナが不思議そうに聞いてきた。
「さあ?ちょっと考えてる間に戻って来たから時間は分からねぇ」
「でもアレだね…お腹も空かないし、トイレも行かなくていい、なのに睡魔はあって好きなだけ寝れるのに老化しない…って最高だね!」
「へー、そんな事もあるんだな…まあ睡眠は精神的な休憩っつーから思念体っぽいモノでもその欲求だけはあるんじゃね?」
逆に食欲が無いんなら肉体的な欲求である性欲も無いと思うけど…と、マキナの話を聞いて予想で説明する。
「そうなの?」
「生身で入ったらまた別だろうけどな」
「…程人君から話を聞いた時にも思ったけど…生身で入るメリットってあるの?」
適当な感じで返した俺にマキナが前々から?思ってたっぽい疑問を聞く。
「生身で鍛えればそのまま強くなれるし…敵を生身で入れて、自分は思念体っぽいモノで入るっつー戦術もとれる」
「…うわ、卑怯な戦術…それチートじゃん」
俺が生身で入った場合のメリットを告げると、何故かヒいたような目を向けてボソッと呟いた。
「チートじゃねぇよ、天界の神の魔法を授かるんならまだしも…自分で作ったのを使って何がチートだよ」
「あはは、確かに」
俺の反論にマキナは特に食い下がる事もなく普通に笑って同意する。
…最近はチートってゲームの改造プログラムの意味じゃなくて、反則とかの感じで使われてるような気がするな…
…まあ意味的には一緒だから間違ってるワケじゃないんだけどね。
「…ただ、お前の言う通り生身で入る必要性は薄いかもな」
なんなら眠かったり精神的に疲れた時にも別空間に入って…
好きなだけ寝て戻って来たら睡眠時間が短縮されるっつー事もできるワケだし?
…おう、これはまた新しい利用方を思いついてしまったかな?
「だよね、若い子とかならまだしも…私達には生身で入る必要はあまり無いかも」
「…お前だってまだ若いだろうが…青くはないが」
マキナの言葉が年齢的なのか未熟的な意味なのか分からないので、とりあえず両方に反応してみた。
「え、熟してる?食べごろ?」
「ん~、まだ中間じゃね?美味しい時期ではあるがピークはまだ…みたいな」
女の子特有の答えに間違えたら面倒くさい問いをしてきたので、地雷を避けるために無難に言う。
「…えー、じゃあ召し上がれ?」
「…なんでだよ」
すると可愛く首を傾げながら良く分からない事を疑問形で言ってきたのでため息混じりに軽くツッコむ。
「…て、程人君?」
「…やっぱり据え膳食わぬはなんとやら、って言うしな」
呆れたような反応をしつつもマキナをベッドに押し倒すと…
困惑したような表情に変わるのでソレに軽く興奮しながら両手を押さえ付けた。
「ほ、本当にするの?」
「誘ってきたのはお前だろ?」
「そ、そうだけど…いきなり積極的に来られると困るというか…んっ…!」
上目遣いな感じで聞いてきたマキナにニヤリと笑いながら返すと、ソッポを向くように顔を逸らしながら言われたのでとりあえずキスする。
…どーせ本番まではできないと思うけど、 たまには俺から積極的に行かないと…ねぇ?
受け身ばっかじゃいくら好感度が高くても恋愛感情が無くなって友達的な感じになったら困るし。
…ソレに、やっぱり男女の関係は男からグイグイ行かないとな!
女側からのアプローチばっかで常に受け身状態じゃ男が廃る、ってモンよ!
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