29




























































…翌朝。



「…ふあ~…あー…良く、寝た……ん?」


『…ん…?朝ぁ…?』


『…朝…?』


『…朝?』



ぐっすりと熟睡出来たので目覚めスッキリで目を覚ますと…



何故かベッドにユリとニーナとアニーの姿が。



…良く見るとドアの所にファイが壁に背を預け腕を組んで目を瞑っていた。



…え、なにこの精霊大集合の図。



しかもファイはアレ寝てんの?立ったまま寝てたの?それとも見張ってる内に寝ちゃった系?



てかコレ、どういう状態なの?なんで精霊達が?なんで俺のベッドに?



途中で潜り込んで今まで一緒に寝てたん?ファイは追い出されたとかそんな感じ?



…ダメだ、全く分からねぇ…



…今の状況が寝る前とは全く違う事に俺は内心パニックに陥る。



『おはよー』


『…はよ…』


『おはよう』


「おう、おはよう……あれ、寝てんの?」



目を覚ました精霊三体が眠そうに目を擦りながら挨拶してきたので、一応挨拶を返し…今一番の疑問であるファイを示して聞く。



『え?…寝てる、ね…』


『…寝てる…』


『…珍しいわね、あんな風に寝るなんて…』



ユリがファイを見て首を傾げながら言うとアニーはボソッと呟き、ニーナも驚いたように呟いた。



「…おはよう」


『…ん…ああ、創造主か……もう朝か…おはよう』



俺がベッドから降りてファイに近づき、顔の前で手を振るも全く反応が無いので…



肩に手を置くと目を開けて辺りを見渡して呟いて挨拶を返す。



「…つーかお前らなんで普通に俺の部屋に居んだよ」


『暇だったから』


『…久し…』


『そしたら寝てるから…』


『…俺は少し待とうと言ったんだがな…』



俺の疑問に三体がリレーするように言葉を繋ぎ、最後にファイがため息混じりに制止したアピールをする。



…暇だったから、って…意味分かんねぇよ。



なんでわざわざ人化してまで会いに来た?そして俺が寝てたからって人化したまま寝るか?普通。



「…なんか用があったとかでもなく?」


『…用が無いと会ったらダメなの?』


「…いや、ダメではないが…いつもはそう気軽には会わないからな…」



俺が聞くとユリに無邪気な感じで聞き返されたので、何故か言い訳がましくなってしまった。



『だって創造主が生きてた、って知ったのはごく最近だし…』


『…死んだ……生きてた…』


『一応マスターから創造主が何か凄い物を作ったと聞いたから、見に来たんだが』


『そう!それ!』



アニーとニーナも言い訳のように呟くとファイが会いに来た理由っぽい事を言い、ユリが乗っかる。



…凄い物って…金属防具一式の事か?それとも『柄』…?どっちだろ…



…つーかあいつら精霊にそんな事まで話すんかい…仲良いな。



「凄い、つっても人間にとっては、ってだけで…お前らからしたら当たり前の事だぞ?」



精霊や妖精は聖域だと羽が無くてもふわふわ浮いてるんだか飛んでるんだかで移動もできるし。



…俺らのこの世界と物理学っつーか…そういうのが多分違うからな…



精霊、妖精、神…悪魔、魔王、魔獣とかは質量があるのか無いのかよく分からない。



浮いてたり飛んで移動してるのに触れたり重かったり…



歩いて移動してるのに触れなかったり重さが無かったり。



天界と冥界はこの世界と似て非なるまさに異界。



この世界の学者とかのお偉いさんが行ったら多分卒倒するんじゃね?



あっちに『理屈』なんて言葉は何の意味も持たないから。



出来るから出来る、なんで出来るかなんて知らないしどうでもいい…っていう世界なんだよ。



冥界と天界は。

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