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『『?どういう事?』』


『…当たり前…?』


「人が空を飛べるようになるってだけだよ」



三体が不思議そうに聞いて来たので普通に答える。



『人が…』


『空を…』


『…飛べる…?』


『『『…だけ?』』』



ユリ、ニーナ、アニーが何故か言葉のリレーをした後に言葉を重ねて問う。



「ソレ以外にも機能はあるが、大まかに言えば…ソレだけ」


『…驚いたな、まさかこの世界で…人間という生き物が飛べるようになるとは…!』



攻撃能力は説明してもアレなので簡潔にいうとファイだけが驚きながら呟いた。



『…なんで驚いてるの?』


『この世界では今の私達が飛んだり浮いたりは出来ないでしょう?』


『…人間……同じ…出来る…』


『なるほど!凄いね!』



ファイの様子を見てユリが首を傾げて聞くとニーナとアニーが説明し、ソレで理解出来たのか出来てないのか…



とりあえず驚いたように声を上げる。



「まあ飛べたところで戦い以外でのメリットは少ないからあんまり恩恵はないと思うぞ」


『だが人間同士の戦いで空が飛べたらかなり有利になるのではないか?』


「相手にもよるんじゃね?」



空を飛べると知ってる魔術師なら対処も出来んだろ?と、ファイの確認に必ずしも有利になるとは限らない…的な事を返す。



…マキナ達にはバレてるからな…結局魔術を使われちゃあ飛べようが飛べまいが変わらなくね?



…魔術って本当に恐ろしいぜ。



『ねえ、創造主!私達も飛べるようになるの?』


「今のお前らは無理」



俺が内心魔術の圧倒的性能を再確認してると、ユリがワクワクしながら聞いてくるので即答に近い感じで答えた。



…そう聞いてくる事は予想済みなのだよ。



『えー、なんでー?』


「アレは人間用に調整してるから…人化してるお前らには多分難しいと思う」



不満そうに尋ねたユリに、魔剣を核に人化してるナニカにはおそらくソレ用の調整が必要になる…的な意味を込めた説明をする。



『人間用って…私達も同じじゃん!』


「見た目は、な…中身が違うんだから扱えるかは微妙だぞ…どうなるか分からんし」



意味が分かってもなお諦めないユリに今度は危険性を含めて返す。



『でもやってみないと分からないじゃん!』


『…創造主がダメだと言ってるんだから諦めましょう』


『…そのほう……どうせ…』


『むー…分かった…』



全く諦めずに食い下がるもニーナとユリが宥めにかかり…流石に諦めたらしい。



「空を飛びたいだけなら別に人化に拘らないでマキナかエルーに頼んで召喚して貰えば良いのに」


『そしたら食事が出来ないでしょ!』


「ええー…」



不満そうな顔をしているユリに提案するも意味不明に何故か怒られた。



…精霊として喚ばれたら空を飛べるようになるけど、食事が出来ず…



魔剣を媒介に人化すると食事は出来るけど、空が飛べなくなる…



そういうジレンマ?



…いや、別に無理して食事や飛行をしろってワケじゃないんだから…両方同時にしたい!ってのはただのワガママか。



『食事って新鮮よね…マスター達は食べる喜び?って言ってたかしら』


『…美味しい……嬉しい……』


『人間が食料を巡って争う理由が分かった気がするな』



俺が理解出来ない呟きを漏らすとニーナ達がユリをフォロー?というか援護?するように話し出した。



…まあ今まで飲む食う排出なんて必要無かったからな…



魔力の質で美味い不味いに近い感覚はあっても、やはり味覚とは違うし。



だがまあ、食事や酸素を全く必要とせずに純粋に魔力のみで生存出来る…っつーのも俺からしたら羨ましいけども。



ごくたまにではあるけど、食事やトイレ…風呂に入るのが面倒な時もあるから…ソレをする手間を省けるのは効率的過ぎる。



…コレも隣の芝生は青く見える現象なんだろうよ。



人にしろ人外にしろ、新鮮さは欲しいモンなんだね。



…欲求に関しては人も人非ざるモノも一緒…



全く違うように見えても意外と共通点があった、って事か。



「…まあ近い内に暇だったら…その時に覚えてたらお前ら用のも作れるか試してみるよ」


『ホント!?』


「出来るかは分からんがな」


『ホントのホント!?嘘吐いたら針千本突き刺すよ!?』



曖昧な事を告げるとユリが即座に反応し、更に曖昧な事を言ったら過激な事を言われた。



…針千本呑ますんじゃなくて突き刺すんかい。



しかも俺は出来るか分からないって言ってるのになんで完成する事が前提なんだ?



「…じゃあ止めるわ、針千本は怖いし」


『あーウソウソ!出来なくても針千本は刺さないから!』


『…だが、出来るのか?』



俺の撤回にユリも慌てて前言撤回するとファイが考えるように聞いてくる。



「さあな、基礎は完成してるから…人間用から精霊用に調整するだけだしイケんじゃね?」


『楽しみね、空飛びながら紅茶を飲むなんて意外と優雅かも…』


『…楽しみ……アイス……』


『空飛びながらマカロン食べたい!』



軽いノリで返すと精霊三体は嬉しそうに出来るかも分からない先の話をしていた。

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