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…でも本当に最悪な、既に藍架や藍架とか式使のお姉さんに式卜のお嬢さんが半妖化…



ってのは今は天地がひっくり返ってもあり得ないほどの確率だから除外でいいか。



そうならないためにかなり早めに動いてるのに、そうなったらもう…ね?



式部が裏切り者か

あっち側にあのメイド達or俺のコピー体がいるか

調停者の指示か…の選択肢になるからソレはどうしようもない。



式部が裏切り者ならどうにかなるが、それ以外となると俺がどうこう出来る問題じゃなくなるし。



いくらなんでもメイドや俺自身、調停者を相手取るのは厳しいからな…



そもそも俺のコピー体を含めたその面子が選んだ展開なら、おそらく俺でも同じ事をするだろうから結局手出しができなくなるワケで…



…まあそんな天文学的数字に天文学的数字を掛けたような…天文学的数字の二乗の確率の事が起きる事自体不可能に近いんだけど。



「…正面の入口から入るのはマズイか…屋上から入るとしよう」



防衛省の建物に近づいてきた時に式部は侵入経路を変えて大鷲を上昇させる。



…まあ確かに現場で戦ってるはずの忍者がこんな所にいるのを目撃されたら辻褄が合わなくて疑われるわな。



「へぇ…防衛省の建物の屋上ってヘリポートになってたんだ」


「ああ、有事の際に要人や職員を逃すためにだな」



俺は忍者にはなれなかったので防衛省という建物に来るのはコレで二回目。



なので屋上がどうなってる…とか知らなかったから、そう呟くと式部が理由を教えてくれた。



「なるほどね…今んところ空飛ぶ妖怪なんて目撃例がかなり希少だからな…確かに空に逃げる分には良いアイディアだ」


「外の国では空は魔物に支配されてると聞くが…実際はどうなのだ?」



俺が理由に納得して感心してたら…異国生まれ異国育ち、外国への渡航経験ゼロの純日本人である式部が疑問を口にする。



「そりゃあ凄ぇモンだぜ?ヘリなんて10分飛べれば良い方よ」



魔物に発見され次第すぐに攻撃されてそのまま撃墜だし…と、異国以外で航空機を使用した場合の状況を伝えた。



「…飛行機は少しの衝撃でも危ないというが…ならば戦闘機だとどうなるのだ?」


「無理…とは言い切れないが、まあ難しいだろう」


「ミサイルか弾薬で魔物を追い払ったり退治出来たりするのでは?」



…異国の奴らは武装した航空機なら魔物を倒せる…なんて本気で思ってるのか?んなワケないよな?



妖怪や俺に弾薬での攻撃があまり意味を成さないのと同じように、魔物に対しても弾薬ごときじゃ、ねぇ…



硬い皮膚や鱗を貫くにはそれなりの威力が必要になってくるし…空を飛んでいる魔物にソレを当てる命中力も必要だ。



そもそも魔物や魔獣は強かったり、例外を除けばほぼ群れで行動してるから…



ミサイル一、二発程度じゃ群れに襲われたら撃退出来ないだろ。



「…この大鷲のような魔物ばっかりならソレでも良かったんだろうが…でも考えてもみろ、未だに外国じゃ航空産業なんてねぇぞ」


「…うむぅ…ソレが答えか……確かにそうだな」



俺ごときのアイディアで解決できるのならもっと簡単に外国へ往き来できたはずだ…と、疑問が解けたのか微妙に納得したように呟く。



「いやまああながちお前の考えが駄目だ、ってワケじゃねーけど…やっぱり壊された時の二次被害を考えたら、な」


「…そうだな、もし住宅街の上で航空機が破壊されようものなら…破片による被害が…」



一応フォローしつつも危険性を告げると賛同して状況を想像する。



「だから退廃したんだよ……ん?衰退?」



技術が無くなる、ってどんな言葉だっけ?ついど忘れしちまって…



…まあいいか、意味さえ伝わればソレで良いから言葉のチョイスとか多少の食い違いはどうにでもなるだろう。



「…なるほど…」



俺が内心己の間違いを適当に流して開き直ってるとマジで意味は伝わったらしく、式部が頷いた。

























































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