13
「…おじゃまー」
「やはり誰も居ない、か…」
屋上の施錠されたドアをピッキングで開け、人目を避けるように移動して科学班の部屋の中へと入る。
おお、意外と普通の部屋だな…机にパソコンに電話…入口は事務室なのか?
俺は部屋の中を見渡して想像と違う事に多少驚きつつ二つあるドアの内の右側へと行く事に。
「へぇ…」
「どうやらココはデータ室のようだな…」
部屋の中には普通のパソコン数台に大量のモニター、そしてスーパーコンピュータのような大きな機械が置いてあった。
「なるほどね、ここで妖怪についてのデータ分析をするのか…」
「…これは…通信班から送られているデータなのか…?」
いかにもな部屋でスーパーコンピュータのような機械を見ながら呟くと、モニターを見ていた式部も不思議そうに呟く。
…あ、ホントだ…誰も居ないのに画面になんか色々と書き込まれていってんなぁ…
…凄え技術…
現場の通信班がスマホだかタブレットだかノートパソコンに打ち込んだ情報が自動的にココに集まるとは…
だけどこんな大量に情報が来てるんなら整理とか解析とか大変じゃね?
「…て事は半妖化の研究データはそのパソコンの中って事か?探すのは無理だな」
「…そうだな、下手に触ってデータが消失したらコトだ」
モニターを見ながら目的の一つが達成不可能だと予想すると、式部も苦虫を噛み潰したような顔で賛同する。
…くっそ、こういう時にリザリーかマキナが居てくれれば…!
あいつらの雷魔術ならハッキングして簡単にデータが手に入ったのに…!
…俺じゃあ魔石の魔力を使って雷魔術を発動させたところで到底無理な芸当だからな…
あそこまで繊細かつ丁寧な魔術操作は無理だし…
そもそもパソコンの中に浸入る前に機械を壊しちまう。
ソレに超運良くパソコンの中に入れたとしても、セキュリティを突破出来ないから意味が無い。
だから電子のデータは諦めるとして…
どこか実験場的な所には紙のデータもあるはずだ。
常にノートパソコンを持ち歩くよりも簡単に持ち運べて、しかもその場所に置きっ放しが出来るから必ずあるハズ。
「…ここには何も無いな」
「そうだな、隣へ行くとしよう」
一応何か良い物はないか…と部屋の中を探してみたものの、何も無かったので事務室へと引き返し左のドアへ。
…ここは着替える所か…?ロッカーしかないが…
「どこかに隠し部屋がないか探してみようぜ」
「…隠し部屋か…」
これ以上奥へと行けるドアが無い、つー事は隠し部屋があるかも…と予想しとりあえずロッカーの中を開けて行く。
「…おお!」
「…なんかあったか?」
ガサガサとロッカーの中を漁っていると式部が声を上げたので…何か発見したか?と振り向いてみた。
「見ろ!結構大きいぞ!」
すると式部は女子職員のブラを掲げるように持っているではないか。
「…あ、もしもし?式使のお姉さん?」
「…なんですのぉ?」
…ソレを見た俺はすぐさま式使のお姉さんに電話する。
「式部が…式部が…」
「赤が…?どうしたんですぅ?」
「女性のブラを片手に喜ぶという変態性を見せつけてくる…」
「…はあ?」
俺が名前だけを言うと式使のお姉さんは眠そうな声からちょっと真剣な声に変わり…
呆れたような俺の報告に意味が分からないといった声で聞いて来た。
「今度会ったらお仕置きしておいてくれよ…」
「…どういう状況か分からないですけど、分かりましたぁ…ご迷惑をおかけして申し訳ないですぅ…」
「…じゃあまた…」
「…はいぃ…」
ため息交じりの俺のお願いに式使のお姉さんは不思議がりながらも申し訳なさそうに謝り、とりあえず電話を切る。
「…お前、あとで式使のお姉さんに怒られてこい」
「なに、ほんの冗談だ」
ちょっとイラっとしながら式部にそう告げるも全く悪びれなく笑ってブラをロッカーに戻す。
「んな冗談は要らねぇからさっさと隠し部屋とか探せ」
「どうせ俺がやらなかったら程君がやっていただろう?」
時間も限られてるので急かすように言うと聞き捨てならない言葉が。
「あたりま……んなワケねーだろ、なんで俺がわざわざロッカーからブラを取って見せびらかさにゃならんのだ」
危うく本心が出そうになりながらも必死で隠して否定した。
「…いや、キャラ的にありえない事ではないからな」
「…そう言われたら何も返せねぇよ…」
すると式部からぐうの音も出ない感じの反論的な事を言われたので、特に反抗するアレもなく呟いただけで終わる。
…論破ってされたらマジで何も言い返せないからな…
『あなたが正しかったですー、なので話は終わりました』状態で会話が強制打ち切りだよ。
いわば何も言い返せないからこそのスルー。
…面倒だから相手にしない時もスルー、論破された時もスルー、って…
『スルー』=話の強制終了、打ち切り…みたいで意味が変わって来てる気が…
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