第21期
01
プルルル…
「…またか」
「ふふっ、あっちでは友達いっぱいなの?」
電話を切って5分もしない内にまたかかってきたので、母さんに不審がられないように呟くと楽しそうに笑いながら聞いてくる。
「いっぱいではないけど、そこそこかな?…もしもし?」
あっちが俺の事を友達と思ってるかどうか怪しいので、微妙にぼかしたように返して電話に出た。
「いよう!テイト!元気か!?」
ショコラかエリアだと予想したのに…大幅に外れ、無駄に暑苦しいような元気に溢れた声が聞こえてくる。
「…だれ?」
「なぬ!?この俺の声を忘れたのか!?…そうか!だからこそのお前だったな!」
俺の問いに電話の相手は驚くも直ぐに納得したように笑う。
…無駄に暑苦しい感じだから正直ウザいんですけど。
誰だよ、こいつ。
そしてこんなやつに俺の番号を教えたのは誰だ?
…うぜぇから切るか。
「俺は」
「あ」
今はちょっとこのウザさに耐えれなさそうなので、電話を切ると丁度相手の自己紹介が始まる前だった。
…まあいいや。
あんなウザい感を出したアイツが悪いよ、うん。
「?どうかした?」
「いや、ちょっと相手の電波が悪くて…」
つい日本語で声を出すと母さんが不思議そうにルームミラー越しに見てきたから適当な嘘を吐くとまた電話がかかってくる。
…またあのうぜぇやつか?…勘弁してくれよ…
「もしもし?ていと?」
「おお、ショコラか」
俺がげんなりしつつ無言で電話に出るとどうやら今度はショコラからだったらしい。
「お土産の件だけど、個別に頼みたいモノがあるんだけど…」
「ああ、エルーやハルト達と同じか…お前はリザリーとマキナにだろ?」
「え!?なんで分かったの!?」
マキナの件からしてショコラも同じだろうな…と予想したらビンゴだった。
「そりゃあ俺がエスパーだから」
「…マキナとリザリーにはサプライズでプレゼントしたいから、内緒にしててくれる…?」
リザリーやショコラに内緒にすると言った以上秘密は守らないといけないワケで…
そういうアレで適当に思いつきでのでっち上げを言うとショコラはマキナと同じ事を言い出す。
「はいはい、昼間っからゴチになりますー…で?何にする?」
俺はのろけを非難するような皮肉を最初に言ってからミニノートを取り出し、問う。
「…着いたよ?」
「お、ありがと…んじゃ、また」
「うん、お願い」
家に着くと母さんがそう告げたので俺はお礼を言い電話を切って、ミニノートをポーチに入れ車から下りる。
「結構長電話だったんじゃない?」
「日本がどんな所か教えて欲しいって言われてね」
「…あー、外国とじゃ全然違うから…」
興味があるのかもね…と、母さんは俺の嘘に気づかず納得して二階へと上がって行く。
…俺も自分の部屋に行くか。
『柄(仮)』や金属防具一式の調整もある事だし。
さーて、データを集めて完成するまでにあと何日かかるかな?
俺は母さんの後ろをついていくように階段を上がって自室へと入った。
チリリリリ…チリリリリ…
…そして武具の調整をする事二時間後。
またしても俺のケータイが鳴り始める。
「もしもし?」
「待たせたわね…ようやく全ての研究所の注文が決まったわ」
ケータイを首に挟むようにして電話に出ると予想通りリザリーからだった。
…やっとかよ…
ショコラからかかって来てから大分時間空いてたからな、出る前から絶対リザリーだと思ってたわ。
「ご苦労だったなー」
「口で言うのも面倒だからファックスあたりで送りたいのだけれど…近くにあるかしら?」
俺が適当な言い方で労いの言葉をかけたが普通にスルーされて確認してくる。
「んー?そんなに多いのか?んじゃ、ブラックボックスの机に置いといて?あとで取っとくから」
俺は『柄(仮)』を弄りながら聞き、どうせ第7研究所だろう…と予想して指示した。
「…分かったわ、用紙一枚につき一つの研究所だから」
「オッケ、何袋とか量も書いてるよな?」
「ええ、大丈夫よ…あ、あといつ取りに来るか分からないけど…一応お金の方も一緒に置いておくわね」
「取りに行くのは夜ぐらいだからそんな急がなくていいぞ…じゃあな」
必要な事は確認出来たので…焦らなくてもいい、っつー事を告げて電話を切る。
…紙一枚で一つの研究所分ねぇ…まだ見てないからなんとも言えないが…
いっぱいの種類の物を大量に大人買いする感じなら、いくつかの業務用スーパーをはしごしないといけなくなるかも…
一つのスーパーで全部揃えられれば楽なんだけどなぁ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます