02

…その場合、母さんから車借りた方が良いかもしれん。



買った荷物は全部小箱に入るとしても、どこでソレを入れるか…ってのも問題になるし。



大量の荷物を持ったまま個室に入って、出てきた時には手ぶら…だと絶対怪しまれるじゃん?



その点車の中だと人目の無い場所に移動出来るワケで。



人に見られる事も無いから怪しまれる事も無いっつーね。



…よし、決まり。



買い物前には母さんから車を借りる事にしよう。



…つーワケでこの国の交通ルールを簡単にではあるが勉強しないといけないか…



外国と違って右側通行って事ぐらいしか分かんねーしな。



後で愛梨か藍架からパソコン借りて調べねぇと。



プルルル…プルルル…



俺が予定を立ててるとまたしても電話が鳴った。



「もしもし?」


「あ、さっき言い忘れたんだけど…」



ディスプレイを見るとリザリーの文字だったんで、またなんか新しい用か?とも思ったが…



どうやらただの言い忘れのようだ。



「言い忘れた?何を?」


「お土産を送る先の事」


「…お土産を送る先?」



…ああ、そういえばどこに何を送れば良いか…とか分かんねぇな。



「良い?今から言う事をメモりなさいよ?」


「…内容にもよるかな」



一応俺は『柄(仮)』を置いてポーチからミニノートを取り出す。



「5.7.8研究所のやつは第7研究所に纏めて送っても大丈夫」


「5.7.8?各個で送っても良いのか?」


「ええ、どうせマキナやエルーが所長だから構わないわ」



微妙な数字の研究所を出されたので疑問を聞いて見ると、どうやら纏めて一ヶ所でも別々でもOKらしい。



「へぇ?エルーのやつも所長なんだ」


「…エリアやハルトが所長な時点で当たり前でしょ」


「…そりゃそうか」



意外そうに呟いたら、何を今更…とでも言いたげな呆れたような感じで返される。



「因みに第5研究所よ…で、ショコラ達の6と4は10に纏めてでも別々でもOKね」


「…ふーん、今聞いてる感じじゃ別にわざわざ言わなくても良くね?」



全部各研究所のブラックボックスに影移動で送っとけばソレでオッケーって事だろ?



「…念のため、よ…あと残りの1.2.3のやつは絶対に第2研究所に送りなさいよ?」



俺の確認にリザリーがちょっと不機嫌そうに返し、命令するような感じで言って来た。



「第2研究所に?なんでソコだけ?」


「今はタイミング悪く1と3の所長は出てるの」



どうせあんたは忘れてるだろうし、名前を言ってもしょうがないと思うからあえて言わないけど…と、トゲトゲしい皮肉が返ってくる。



「そりゃそうだ、会わねぇやつの名前なんて覚えててもしょうがねぇからな」



話題にすら挙がらないっぽいから覚える必要皆無じゃね?



「…あんたって本当に……いえ、なんでもないわ…じゃあお願いね」



リザリーは何かを言いかけて無理やり飲み込んだように押し込め、電話を切った。



……とりあえず今の電話は大陸毎の研究所に纏めて送れ、って事で良いのか?



7と10と2…



商業、生産、軍事か…良く考えたら綺麗に分かれてんなぁ。



エルー、マキナ、リザリーが商業大陸で…



ハルト、エリア、ショコラが生産大陸…



そして名前を忘れた友達的な奴らが軍事大陸にある研究所。



…あれ?この感じだとマキナかリザリーのどっちかが軍事大陸に行った方が、綺麗に分かれてるような気がするんだが。



女ばかり、男ばかり…ってワケじゃなく、女性陣が商業と生産で微妙な分かれ方をしてるのはなんでだろう?



どうせなら各大陸一人ずつ分かれるか、一つの大陸に集まれば良いのに…



本当、なんでこんな微妙な分かれ方になったんだ?



…って言っても用事があればどこでも集まるからどこに駐在してる、なんて関係ねぇか。



あいつらの事だから研究所の所長なんてクジかなんかで決めたんだろうよ。



じゃねぇと一大陸に女性陣が固まらない意味が分からないし。



…っと、意味の分からん事考えてないで調整の方を進めないと…



『柄(仮)』は大した調整は必要ないから後は名称を考えるだけだとして…



問題は金属防具一式だな。



空を飛んでる最中や移動してる最中でも自由に動けるようになる、ってのが完成形の最終目標だから…



とりあえずは俺の実験データと式部の実験、戦闘データを合わせて浮かび上がった問題点の改善…



…うーむ、運動性は問題無い…が機動性に問題が…

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