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「…あ、3分…」
「え、もう?」
母さんが腕時計を見て呟いたので家の丸時計を見て確認すると、本当にカップラーメンが食べられる時間になっていた。
…わお、時間経つの早いね。
「カップラーメンも久しぶりだな…いただきまーす」
「…いただきます」
俺が呟いて蓋を開けると母さんは律儀に手を合わせて合掌する。
……おお、美味い!こっちのインスタントはユニオンのとは比べ物にならんほど美味いな!
…まあ外国の人達はインスタント食うぐらいなら自炊か外食、出来合い物の惣菜を買うから別にインスタントに美味さを求めて無いんだけどね。
一応軍人の携帯食であるレーションだけ、技術の進歩で徐々に美味しくなってるらしい。
…養成学校の頃に良く教官達が話してたけど、昔は豚や牛とか家畜の餌と間違えるぐらい味が悪かったんだと。
今や家畜の餌の味もグレードアップしてるからかレーションも冷凍食品並みには美味しくなってるとか。
…各研究所にお土産として業務用のやつを大人買いして持って行ってやろうかな?
もちろん国内から持ち出しNGの食品関連を除いて…だけど。
…でもなぁ…金がなぁ…良し!金はあいつらに出させよう!
「ごちそうさま」
「はや…あ」
俺の食事終了の合図を聞いて母さんがこっちを見て呟くとどっからか音楽が流れてきた。
「?音楽…?」
「私のケータイだ…もしもし?」
俺が不思議そうにあたりを見渡すと母さんはソファに置いてあったケータイを取り出して食事もそこそこに電話に出る。
…ああいうケータイを見ると俺のケータイもオルゴールとか電子音じゃなくて、普通の音楽をコール音にしたくなってくるぜ。
母さんのケータイを羨ましく思いつつ俺はリザリーに電話をかけた。
「…もしもし?…程人?珍しいわね、あんたからかけてくるなんて」
「ああ、不意にお前の声が聞きたくなってな…それとちょっと提案があって」
リザリーは驚いたようにそう言って来たので、まず最初に女が喜びそうな事を返してから本題に入る。
「…そんなに私の声が聞きたいのなら録音でもしてなさい、で?用は?」
「じゃあ録音するから先ずは見下して蔑むようなドSボイスから…今異国に居てな、しばらく滞在しようと思ってんだけど」
「…ユニオンにはしばらくの間帰って来ないって事?わざわざソレの報告をするために電話を?」
「いやいや、ソレもあるけども」
ボケたのにツッコまれず、更には時間のムダ…と不機嫌そうに言われる前に否定して一旦言葉を切った。
「ソレも?」
「言っただろ?俺、今異国に居るって…お前らの貸しと金さえ貰えれば各研究所にお土産を買って送ってやってもいいぜ?」
当然国外持ち出し禁止指定されてる食品は無理だけど…と、前置きや送る品物の種類を注意の意味も込めながら同時に伝える。
「…金はいいわ、でも貸しってどういう事?私だけが損するじゃない」
「だから、『お前ら』だって…ショコラやマキナ、エルーやエリア達と相談しろよ」
…リザリーはさっき注文した不機嫌ドSボイスで俺を責めるように言ってきたので、誤解を解くようにそう告げた。
「…分かったわ、また電話する」
今から相談を始めるのか言うや否や電話が切れる。
…本当は俺が自腹切って大人買いして送った方がカッコ良くて評価も好感度も上がるんだろうけど…
残念ながら魔物が金に縛られるってのはあり得ないから大金は持ってないんだなー、これが。
そもそも欲しい物は力づくで奪い取るっつー魔物スタイルだし。
…一応大して必要でもない小物を奪い取って悪目立ちして敵を増やし動きにくくなる…
なんて面倒な事態にはしたくないからお札は数枚持ち歩いてるが…
大人買い出来るような金ではない。
…まあ流石にいくら魔物スタイルとはいえ面倒事は勘弁っしょ?
そんな小さいので面倒事を起こすのなんてアホだけだろ。
だから、しょうがなく…金が無いので格好良さを捨てる事にはなるけど好感度や評価が微妙に上がる展開にした。
元々俺は格好良さとは無縁だったおかげでマイナスにはならないからネ☆
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