第20期

1






「この世に干渉する全ての万物よ…」



ピルルルル…



「んあ?」


「電話?」


「俺の着信音じゃないな…」


「私のでも無いよ?」



リザリーが部下と戦ってる最中に俺のケータイの着信音が鳴り出した。



マキナ達は不思議そうに首を傾げて鳴ってる着信音が自分のでは無いと否定する。



「俺のだ……もしもし?」


「…遠間愛梨は預かった、返して欲しければ17時までに例の場所へ来い…」


「…は?…切れた…」



電話に出ると低い男の声で意味の分からん事を告げられ、そのまま切れた。



「?どうしたの?」


「…俺にもさっぱり分からん…あ、もしもし?あたしゃだけど…」



ケータイ片手に首を傾げる俺を見てショコラが不思議そうに尋ねたので、思ったままをそのまま告げとりあえず式部に電話をかける。



「おお、遠間程人か!珍しい…何の用だ?」


「今しがた変な電話が来てな?俺の妹を預かった…とか言ってたから、悪いけど確認を頼めるか?」


「…誰と喋ってるんだろ?」


「…さあ?エリアかハルト…ではないね」



俺が式部に用件を告げるとマキナとショコラがヒソヒソ話し出した。



…いや、聞こえてるんだけど。



「…遠間愛梨を…?分かった、直ぐに確認させよう」


「悪い…というか、もしかしてお前らの仕業じゃねぇだろうな?」



…わざわざ俺に電話をかけて来た、って事は十中八九忍者の仕業のような気が…



「いや、忍者は関わってないハズだ…そんな作戦が計画されていたら真っ先に程君に知らせている」


「…それもそうか、重ね重ね悪いな…頼んだぜ」



俺のカマかけにひっかからなかったのでおそらく勘違いだった…つー事にして式部に謝り電話を切る。



…17時って…時差考えたらあと一~二時間ぐらいか。



式部の報告を待って家が安全ならば影移動を使おう。



流石に10分程度じゃ相手も愛梨に何も出来ないハズだ。



…もし犯してたとしたら楽には殺さんがな。



産まれて来た事を後悔し、なおかつ死にたいと思わせ続けながら生かしてやるわ。



「…誰からだったの?」


「最初のは知らんやつ、今かけたのは故郷の知り合い」


「故郷って…異国の?なんでまた…」



マキナの質問にリザリー達の戦いを見ながら答えるとショコラが可愛く首を傾げながら聞いて来た。



「最初の知らんやつに俺の妹を拉致ったとか言われたから、本当かどうか確認してもらってる」


「えっ!程人君って妹が居たの!?」


「お前ら知らなかったのか?確か妹の他に姉も居るとか言ってたような…」


「…一人っ子じゃなかったんだ…」



俺が説明するとマキナが驚き、エルーが呆れたように聞くとショコラも驚いたように呟く。



「はあーあ…面倒くせ…俺はこの後ちょっくら異国に戻るからリザリーにも伝言頼むわ」


「「「伝言?」」」



ため息を吐きながら億劫そうに呟いてそう告げると三人の声が被る。



「あの部下でも、魔界では中レベルの強さでな…」



そんなレベルの魔物がそこらにうようよいて、更に強い魔物もゴロゴロいる…どれだけの恐ろしさか分かったか?と、俺は魔界の危険度を告げた。



…リザリーにも間接的に伝わるとはいえ、既に身を持って知ったと思うけどな。



…コレでもう簡単に魔界の話はできまいて。



もし政府やお偉いさん方からそんな話が来ても身の程を知ってるから断るだろうよ。



「…あのレベルが平均って…」


「しかも一体二体じゃないし…ヤバイね」


「…あの元ギルドマスターはよく生きて帰って来れたな…」


「…お、終わったっぽいぞ」



マキナにショコラ、エルーが呆然と呟いてるとリザリーが魔術を命中させて俺の部下を倒す。



さーて回復させて部下を影移動させて愛梨を助けにでも…



プルルルル…



この後の行動を考えてるとおそらく式部からであろう電話が。



「ちょっ…!」


「悪ぃな…もしもし?」



流石に片手ではお姫様抱っこは出来ないので…



満身創痍のリザリーに追い打ちをかけるように足首を掴んで引きずり、電話に出る。



「…どうやら程君の言ってた事は事実らしい…紫に電話したが学校に遠間愛梨の姿は見当たらず、家や帰宅路を式神に探らせたが姿は無かった」


「…マジか、俺の実家はどうだった?」



俺は式部からの報告を聞きつつリザリーを部下の隣に移動させ、ポーチから魔札を取り出して対象者を囲うように配置しながら聞く。



「特に異変は感じられなかったな」


「…そうか、ご苦労さん…レスアトル」



実家に敵の手が伸びてない事が確認出来たので式部に労いの言葉をかけて電話を切り…治癒魔術を発動させた。

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