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「…程人さんも、そういうのがあるんですか?」


「?そういうの?」



誤魔化しきれたのかきれなかったのか…クレインが少し考えるように尋ねて来たけど、俺は意図が読めずにオウム返しに聞き返す。



「…私の、魔法って言うんですか?チャームみたいなのです」


「…なんで?」


「あ、いえ…程人さんの周りには良い人達が集まってるので…何か魅力みたいなのがあるのかなー?と思って」



クレインの言葉にもう一度聞き返すとなんか焦ったように手を振りながら説明し始めた。



「うーん…集まってる、ってのはちょいと間違ってるかな?」


「え?」


「正確にはエリアとハルトが集まって来ただけで、リザリーとマキナは俺が無理やり集めた」



ショコラとエルーはおまけみたいなモンかな?運が良かったんだろうよ。と、俺は不思議そうにしてるクレインに説明するような感じで話した。



「無理やり、集めた…ですか?」


「まあ簡潔に言やあ…執念で友達になった、って事だ」


「しゅ、執念ですか…凄いですね…」



不思議そうだったクレインの表情が俺の言葉で何かを思い浮かべたのか…若干ヒいたような感じに変わる。



「だから俺に魅力なんて素敵なモン、あるワケが無い…あるのは泥臭い努力だけさ」


「…そう、ですか…」



自虐するように言うとクレインはなんか納得がいってないように呟く。



「…納得いってない?」


「あ、いえ!…実は、ちょっとだけ…」



俺が確認すると焦ったように手を振って否定するも少し間を空けて本音を零す。



…コイツ、何が言いたいんだ?



流石の電波キャラの俺も、周波数が違う電波キャラの考えは読めねぇな…



つーてもクレインは電波キャラでは無かったハズなんだが…成長してマキナみたいにキャラ変した系?



「…実は…程人さんが寝てる時、なんですけど…」


「?俺が寝てる時?」


「…はい、私…夜中にトイレ行って、寝惚けて程人さんの部屋に入ってベッドの方に行っちゃって…」



何故かクレインはいきなり意味不な事を話し出す。



「え?夜這い?見かけによらず大胆な…」


「ち、違います!///寝惚けてですよ!寝惚けて!///」



俺の煽りに恥ずかしそうに顔を赤らめたクレインが焦ったかのように手を振って弁解した。



「ははは…冗談だって、冗談」


「もう…///…それで、その時に何故かちょっとふわふわした気持ちになったんです」



俺が大人の対応で笑いながら流すとクレインは可愛く拗ねたようにそっぽ向いて一拍空け、続きを話す。



「…ふわふわした気持ち?」


「はい、どういう気持ちか説明は出来ないんですけど…私のと似てるな、と思いました」



どこがどう…とか、詳しくだったりは説明出来なくて…私の気のせいだったのかも知れないですけど…と何故かしどろもどろ言い訳を始める。



「ふーむ…まさか気づかれるとは思わなかったな」



いや…まあだからどうした?って感じなんだが。



「やっぱり、何かあるんですか!?」



俺の内心とは裏腹の作っただけの意外そうな呟きにクレインが反応して身を乗り出したように聞いてきた。



「ん~…ソレは吸血鬼の特性なんだよね…魔性とか催淫ってやつ?女を惑わす系な」


「きゅう…けつき?…あ、でも魔性って、やっぱり私のチャームみたいな感じですか?」



仕方ないので説明するとクレインはキョトンとした後にそう聞いてきた。



「…ソレと似てるけどちょっと違うかな?」



チャームは自身の魅力を増幅させて人を惹きつけるけど、俺の特性は他人の性的な欲求…



つまりは性欲を増幅させて人を惹きつけるやつだからなぁ…



ラフレシアが虫を食べるために臭いを放って惹きつける特性を持つように…妖怪である俺もまた、人から血を吸い易くするために惹きつける特性を持つ。

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