22
ソレから一週間後。
「…!やりました!程人さん!使えるようになりました!」
殺気を出さずに技を発動させるために地味な精神鍛錬から入り、並行して身体強化の技の方も修行させてると…
どうやらクレインはやっとこさで身体強化の技を会得したようだった。
「…おお、そうか…思いのほか早かったな」
俺は金属の小手のようなモノをイジりながら顔を上げずに褒める。
…うーん…コイツの完成の方が早いと思ったけど…
やはり才能かね?
…とはいえ、リザリー達ならば例えクレインと同じ年だったとしても三日では会得してただろうがな。
なんせ殺気を消す必要が無いのだから。
「…あの…今度は何を作ってるんですか?」
「…ん?ああ…内緒だ」
気になったかのように聞いてきたクレインに俺はどうせ内容を言っても分からないだろうな、と思ったので秘密にした。
「うー…そんなぁ…」
「…それより、そっちの休みはあと何日あるんだ?」
リザリー達はもうとっくに商業大陸の研究所に帰っちまったし…
双子の試練とやらも昨日終わったらしいから俺もいつもの公園に戻ってのどかに昼寝でもしたいんだが。
…まあその前に時間があるんならアフターサービスでもしようかな?って考えてるんだけども。
「え?…えーと…」
残念そうにしてたクレインは俺の質問に不思議そうな表情をしたのち、指折り数えながら考え始める。
「そんなに多くは残ってないんじゃないか?」
「…そうですね、あと一週間ほどだと思います」
金属の小手のようなモノから目を離さずに問うとどうやら当たらずも遠からずな答えが返ってきた。
「…あと一週間か…まあ一日あればいけるだろうし…」
「?どうかしたんですか?」
俺の呟きを聞いてクレインは不思議そうに首を傾げる。
「…お前にコレから良いモノを授けてやろう」
「…良いもの?」
俺は立ち上がって金属の小手をバッグにしまいそう告げた。
「そうだ、コレは俺の老婆心からくるプレゼント…だな」
「…何かくれるんですか!?」
俺が考えながらそう言うとクレインは興奮したように近づいてくる。
「…ああ、擬似的ではあるが治癒魔術を伝授してやろう」
「…擬似的な…治癒魔術…?…え…!?治癒魔術って、あの!?」
両手を上げて背筋を伸ばしながら告げたら不思議そうな顔をされた後に少し考えて意味を理解出来たのかクレインは驚愕した。
「多分ソレ…だけど、リザリー達やハルト達以外に俺が教えたと言うなよ?絶対にだ」
ソレが守れないならこの話は無しにする…と情報漏洩を防ぐために保険をかける。
…どっかの誰かにバレたら厄介になるからねぇ…個人だけじゃなく、そういうのが複数人いるし。
「大丈夫です!この腕輪に誓って、姉さんや兄さん達以外にはバラしません!」
クレインは即答に近い形で、自身の持つチャームの魔法を抑えてる呪いアイテムの腕輪を触りながら言った。
「…そうか、なら早速明日からだな」
「はい!お願いします!」
約束を守る決意のほどが伺い知れたので、修行開始の日を告げるとクレインが頭を下げる。
「…まあ気合いが入ってるのは良いことだけどさて置いて…そのチャームはちゃんと抑えられてる?」
「あ、はい…魔術を使う時や魔武器で攻撃する時はちょっと心配ですけど…なんとか」
俺は話題を変えるようにクレインの呪いアイテムであるミサンガのような腕輪を指差して聞くと、ソレを触りながら笑顔で頷く。
「ふーん…ちゃんと抑えられるモンなんだな…本当は俺も欲しかったが…」
「…え?」
「いや、なんでもない」
思わず本音が漏れてしまったので取り繕うように手を振って誤魔化す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます