21
「…そうか」
…リザリー達がやっている身体強化と意味合いは一緒とはいえ系統が違うのに、使う際に殺気が出るとは…
ってかクレインに殺気を出せるだけのアレがあったんだな。
虫も殺さぬような性格のくせにナニカを殺したいと思う気持ちがあるのにびっくりやわ。
「…あ、あの…どう、でした?」
俺が内心色々考えてると何を勘違いしたのかクレインはおずおずといった様子で聞いてきた。
「…まだまだだな…いや、全然ダメだ」
コイツがどういう考えで俺に技を教えて欲しいと思ったのか分からんし興味も無い。
が、人や何かを殺すために身に付けたいと思ってはいない事は確かだろう。
…あの技を発動させるのに殺気を放つという事は、本人の望む望まざるに関係無く無意識の内に相手にトドメを刺すかそのままかで殺すという結果になる。
そうなるとクレインの性格から察するに王道主人公のごとく意味不明な精神状態になる事は火を見るよりも明らかだ。
…つまりはこの技の完成形は殺気を出さずに発動できるようになる事。
その点からすると、殺気が出てる今は全然上手くいってない…って事になるんだが…
「あんたの目は節穴なの?良い所まで進んでると思うのだけど?」
「だよね?私も良い形に仕上がって来てると思ったんだけど…」
ソレを知らないリザリーに責められ、ショコラはクレインを褒めるような事を言う。
「でも程人君がまだまだって言うんだから、何かが違うんじゃない?」
「鋭いな、流石はマキナ」
人類でただ一人、身体強化の技を二種類持つだけはあるぜ。
「え?えへへ…そうかな?///」
俺を庇うように問いかけたマキナに褒めるようにそう言うと照れながらも嬉しそうに笑った。
「どういう風にすれば上手くイキますか?」
「え?そりゃあ…自分で良い所を探してソコを重点的に…」
「え…?良い所…?」
クレインの真剣な言葉が卑猥に聞こえてしまい、自分で慰める方法を教えようとしたら不思議そうに首を傾げられてしまう。
「…すまん、なんでもない…忘れてくれ」
俺は、セクハラだ!と言われる前に…気付かれる前に謝って自分の非を無かったかのようにする。
「男と違って女の子は大変だからねぇ…」
「だよね、自分で自慰の言葉に絡めたスポットを探すのって中々上手くイカないし」
「最初は指を入れるのもちょっと抵抗があって恐る恐るだったわね…懐かしい」
…無かったかのようにしたかったのに、マキナ達がそうはさせてくれなかった。
「そんなぶっちゃけトークは良いんだよ」
女のそんな生々しい情事の事情を聞くとなんかこう、性的興奮とは違う方?
…魅力的に思う感じの理想方向での興奮が薄れてしまうから止めて欲しい。
「えー?でも女の子だったら知っておかないといけないじゃん?」
「ナターシャちゃんだってそろそろ年頃だしね?」
「ソレを俺ら男が居る空間でするってどうよ?」
幸いな事に俺以外の男陣は双子と話してる最中だったからこの話にはついてこれてないけどさ。
「…あの…?」
「…そもそもあんたが始めたんでしょうが」
「ソコは冗談なんだから察して流してくれよ」
不思議そうにするクレインを他所にリザリーが俺を元凶にしてくるので多少の言い訳をする。
「それじゃつまらないじゃん」
「…じゃあ聞くが、面白かったか?」
「んー…今回はイマイチ」
「だろ?面白くならねぇモンは広げる必要なんてない、時間の無駄だ」
ショコラの言葉に質問で返すとちょっと考えてるそう答えたので、俺はキッパリと言い切った。
「で、どこがダメなの?」
「どのくらいまで進んでるのかしら?」
「…ん~…どこが、って言われてもなぁ…とりあえず60%ぐらいは進んでんじゃね?」
リザリーとマキナが急に話を戻して質問してきた事に俺は一瞬内心だけ面を食らったが、外面には出さずに少し考えて答える。
「…結構進んでるのね」
「この調子だったら明日にはもう使えるようにはなってたり?」
「…どうだろうな?ソレは本人にしか分からないんじゃね?」
どの段階をもってして『使える』と判断するかはクレイン次第だし…
そもそも俺は使えないんだから今どんな状況かも知らないんだよなぁ。
「…え?私…ですか?」
俺がクレインを見ながら言うと…いきなり振られたからか、きょとんとしたような表情で首を傾げた。
「使えるようになったら見せてね!」
「だね、私も見てみたいかも」
「私達とは違う種類の身体強化術…興味があるわね」
「あ、はい!分かりました!頑張ります!」
ショコラ達に興味を持たれたクレインは何故か元気よく返事する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます