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この世界で、人間に、犯される…ってのはあまりどころか確実に現実味がゼロ。



だってアイツらくっそ強いよ?



お互いに魔力が使えないって条件でも、普通に戦っても円卓の騎士と同格…



マキナに至っては魔力無しになればおそらく日比谷とも張れるぐらいの世界トップクラスだし。



そこそこ強いぐらいの人間が力ずくで抑え付けられるワケが無い。



催眠で~…とかやってもマキナとリザリーは雷魔術だから自力で解けるだろ。



媚薬なんて俺が使うような超強力なモノでも無い限り我慢しそう。



「…あ、あの…」



俺が要らん事を真剣に考えてると、クレインが顔色を伺うような可愛い上目遣いでチラチラ見ながら話しかけてきた。



「ん?…ああ、そうそう…これからは言葉を使う時はちゃんと意味を知ってから使えよ?」



手遅れになる前にな、と優しい俺はクレインに警告する。



「あ、はい……それでも…それでも程人さんになら、私…大丈夫です!」



ナターシャは顔を真っ赤にしたまま少し考えるような素ぶりを見せると、恥ずかしそうに目を瞑りながらオーケーのような事を返す。



…え、ええー…?いやいや…え?…コレは一体どうした事か…



ナターシャの予想外の言葉に俺は外面には出さないが内心で軽く困惑した。



『子供は守備範囲外だ』と嘘を吐いた方がいいか…


『もう少し大人になってからな』と大人の対応をした方がいいのか…


『冗談だろ?』と軽く流した方が良いか…


『エルーやリザリーに悪いから』と本人以外の事を引き合い出した方がいいのか…


『俺をロリコンにしたいのか?』と冗談を交えて煙に巻いた方がいいか…


『その歳で子供育てられるの?』と現実味を出した方が良いのか…


『なら今すぐしゃぶれよ』と最低な事を言った方がいいか…



………うーむ……



逆に『本気にすんなよな』と笑って冗談で終わらせる、って手もあるな。



…どちらにせよクレインも結構な覚悟を決めて発言したハズだ。



上手くかわせないと傷付けるかショックを与えても不思議では無い。



少女漫画とか少年漫画とかの女の子の心境やらを見てればあり得ない事ではなさげだし。



…ココで俺の危機回避能力の真価が問われる!



「…なあクレイン、吊り橋効果って知ってるか?」


「…え?…吊り橋効果…ですか?」



少し考えた結果、俺は直勘と経験則に期待してアドリブで話す事にした。



「そうそう、俺とお前の出会いを考えたらその効果が無い…とは言い切れないと思う」


「そんな…!違います!私はそんなモノじゃ…!」



まだ俺が話してる最中なのにクレインは必死に否定するような事を言って遮ってくる。



「…ふう…まあまあ最後まで話を聞けよ、お前のその想い?っての?ソレは確かに吊り橋効果で生まれたモノでは無いかもね」


「…なら…!」


「だが、その想いとやらは本当に今ここで勢いに任せて言ってる事であってんの?勢いで後に引けなくなってるだけなら、吊り橋効果と変わらなくね?」



俺自身今何を言ってるかあまり良く分かってない上に、勢いに任せて…



と言うか完全に勢いだけで言ってるので自分の事を棚上げにしてる感がハンパ無い。



「……そう、ですよね…」


「吊り橋効果みたいな一時の疑似感情だと勘違いされたくなけりゃ…勘違いしたくなけりゃ前言撤回するのも手じゃね?」



落ち込んだような感じでうつむきがちに呟いたクレインに俺は笑いながらだめ押し的な感じで聞く。



「…すみません、性奴隷になるって言うのは勢いだけの発言でした…でも!そうでもしないと!程人さんは…!」



クレインは謝って前言撤回した後に涙目で俺を軽く睨みながら弁解し始めた。

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