第18期
1
「…程人さん…お願いがあります」
「…お願い?」
ナターシャ…もといクレインは逡巡したようなそぶりを見せた後に意を決したかのように真剣な顔でそう告げる。
「…私を強くしてください」
俺が不思議そうに聞くとクレインは一瞬間を空けてよく分からない事を言った。
「…は?俺が?」
「はい」
…いやいや、なんで俺?鍛えて欲しいんならリザリーとかエルーに頼みゃあいいんじゃね?
「…えーと、それならリザリー達に頼めば?」
俺は疑問に思った事をそのままクレインに返す。
「兄さんや姉さんからは今鍛えてもらっています」
「…え、じゃあ俺いらなくない?」
クレインの意味不な返しに流石の俺も意図が読めない。
魔力の皆無だった俺に魔術師的な感じで鍛えてくれと言われてもなぁ…
しかも魔術的な面はリザリー、体術的な面はエルーで揃ってんだから俺必要ねぇじゃん。
「お願いします!私、強くなるためならなんでもします!」
「…なんでも…?」
なんでもって…ムフフな事とかウフフな事とかキャハハな事とかアハハな事とか?
「はい!程人さんが望むなら性奴隷にだって性玩具にだってなります!」
俺の邪ないやらしい考えが見抜かれたのかクレインの口からはおおよそ出てこなさげな単語が飛び出してくる。
「いやいやいや!ちょっと待て、言ってる意味分かってんの?」
一応本気で思っていたワケじゃないので俺は否定しつつ問う。
「……はい!」
ちょっと不思議そうに考えるような顔をして間が空いたあとに元気に返事した。
…あー、コレ…分かってねぇんだろうなー…エルーかリザリーかマキナか…
とりあえずそいつらの会話だか独り言だかから拾った言葉をとりあえず使ってみたって感じだろうよ。
「…ホントに?」
「…ぅ…ホントです!」
俺が確認を取るとクレインは少し目を泳がせた後に強調する。
「…ちょっと耳貸して?」
とりあえずどこでもこんな事を気軽に言われたらどこぞの18禁の同人誌のようになってしまうので…
「…え?…ええっ!?///」
良くわかってないクレインに優しい俺が意味を教えてあげる事に。
意味を知るにつれ驚いたように目を見開いていき、どんどん赤面していく様は見ていてなんとも初々しい。
…まあマジで18禁の同人のようになってしまったらエルーとリザリーがキレるだろうけど。
無理矢理にしろ合意にしろ、調教とか快楽堕ちだったら相手は悲惨な事になるだろうな…
単独だろうが複数だろうが。
どこに逃げようとそれこそ地の果て魔界天界冥界の果てまで追いかけて行きそうだ。
…そうなると俺も強制的に協力させられる事になるだろうけども、おそらく喜んで協力するわ。
こんな純真無垢な娘が使う意味分かって無い言葉を本気にして犯すってんなら、神が許しても俺が許さん。
お前何様だよ?って聞かれたらこう言おう。
『俺は俺様だ、文句ある奴は出てこい皆殺しにしてやる』と。
…とまあいつものごとくズレちまったか。
リザリーやマキナ、ショコラに目の前のクレインがそういう状況になるってのは結構難しいんじゃね?
クレインはともかく…リザリー達が18禁の同人誌のような状況になるってありえねぇ。
この前似たような状況になったけども、俺らが助けたし?
あのまま手紙を出さずにヤっちゃってたとしても、ソレは無理だと思われ。
だってアイツら常に拉致られた時のためになのか?発信機を身につけてんじゃん?
俺の影移動で直ぐに助けに行けるし、そもそも人間で俺以上に性行為が上手い奴なんて存在しない。
寝取られなんて人間には不可能…といっても触手とかの人間以外の生物ならば話もまた別だけど。
アイツらが勝手に魔界に行ったとしたら…相当稀な確率で魔物にヤられたり触手でなんやかんや、とかはあるかも。
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